ミキサーによる麺生地練り作業中、ミキサー内に転落し死亡
業種 | 食料品製造業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 混合機、粉砕機 | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護・安全装置が不完全 | |||||
発生要因(人) | 分類不能 | |||||
発生要因(管理) | 動いている機械、装置等に接近し又は触れる |
No.101064
発生状況
この災害は、うどん、そば、ラーメンの生地の製造を行っている事業場において、麺生地をミキサーで練る作業中に、ミキサーの周囲に付着した粉をハケで払い落とそうとして、作業者がミキサー内に誤って転落し、羽根に巻き込まれ被災したものである。 災害が発生した作業場には、原料の粉を練るミキサー、練り終った生地をローラーに送出すフィーダー、生地を巻き取るローラー等が設置されており、被災者が一人で操作していた。作業工程は、[1]ミキサーに粉を入れ、蓋を閉める、[2]ミキサーに給水するための起動スイッチを入れる、[3]自動運転で練りが開始され、ミキサーの回転が終了するまで待つ(約15分)、[4]蓋を開け、生地の練り状態を確認し、ミキサーの下蓋を開け、ミキサーの下のフィーダーに生地を落す、というものである。 災害発生時の状況は、そば生地の練りが終わり、次の工程に移るためにミキサーの羽根の回転が完全に止まる前に、ミキサーの蓋を開けてヘラでミキサー周囲に付着した粉を落していたときに、麺生地が身体の一部に絡まり引き込まれミキサーに転落したものである。ミキサーの非常停止スイッチは通常の作業位置から手が届かない1mほど離れた操作盤に取付けられていた。また、このミキサーは羽根が回転中に開口部の蓋が開閉できる構造であり、ミキサーの操作についての詳細な作業手順書が作成されていなかったことに加え、作業者への安全衛生教育が不十分であった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | このミキサーは、羽根が回転中に蓋を開けることができる構造であったこと |
2 | ミキサーの羽根の回転が完全に止まる前に蓋を開けて、ミキサーの周囲に付着した粉の払い落としを行ったこと |
3 | 非常時に直ちにミキサーを止めることができる非常停止スイッチが、通常の作業位置から操作できる位置に設置されていなかったこと |
4 | ミキサー等を使用して行う一連の作業についての詳細な作業手順書が作成されていなかったこと |
5 | 作業者の安全衛生教育が不十分であったこと |
対策
同種災害を防止するためには、次の対策の徹底が必要である。 | |
1 | ミキサーは、羽根が回転中は蓋を開けることができない構造とすること |
2 | ミキサーの羽根が回転している時は、蓋を開けてミキサーの周囲に付着した粉の払い落とし作業を行わせないこと |
3 | 非常時に直ちにミキサーを止めることができる非常停止スイッチを作業者の通常の作業位置から操作できる位置に設置すること |
4 | 安全な作業方法について作業手順書を作成し、これをもとに作業者に安全衛生教育を実施し、作業手順書の内容を周知徹底すること |