攪拌機に転落した作業者が攪拌羽根に巻き込まれ死亡
業種 | プラスチック製品製造業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 混合機、粉砕機 | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護・安全装置がない | |||||
発生要因(人) | 場面行動 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.101063
発生状況
この災害は、土木資材、農業用資材等のプラスティック製品を製造している工場の研究所で発生したものである。 災害発生当日、新製品の吸音材の試作製造を行っており、吸音材は、砂、液状合成樹脂、染料を、混合機で粒子状に固形化し、さらに合成樹脂を加えて混合し、金型に投入して板状に成型加工するものである。 今回の災害が発生した作業は、混合機での作業中で、温水機により攪拌機のジャケットに温水を供給しながら、攪拌羽根が4秒1回転で、15秒間回転してその後10分間停止するという間欠作動であった。 災害当日、被災者Aと同僚Bは、前日に攪拌した残りの材料を除去し、前日から調子の悪かった温水機に逆支弁を取り付け、二人は温水機の調子をみるため、「スイッチ入レルナ掃除中」の表示板を外し、BはAに「回すよ」と声をかけ、混合機の運転スイッチをいれた(温水機は攪拌機と電源が一緒で混合機を作動させないと作動しない)。 二人は、温水機の流量調節をしていたが、時間が掛かりそうだったので、BはAに混合機の架台の上に置いていた掃除用工具の片付けを依頼した。しばらくして、悲鳴が聞こえたので攪拌機の電源を切り、内部を見るとAが攪拌羽根に巻き込まれていた。 今回の災害は、Aが何らかの原因でバランスを崩し攪拌機の開口部から内部に転落したものである。また、攪拌機の開口部周囲には、囲い等が設置されてなく、蓋が閉まっていなければ攪拌機が作動しないようなインターロック装置も設置されていなかった。なお、安全な作業のための作業標準書の作成や安全衛生教育も行われていなかった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 攪拌機に囲い等がなく、またインターロック機構を設ける等の安全措置がとられていなかったこと |
2 | 攪拌機の電源と温水機の電源の配線が一緒であるため、温水機の調整作業中にも攪拌機が作動していたこと |
3 | 安全作業のための作業標準書の作成および安全衛生教育がなされていなかったこと |
対策
同種災害を防止するためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 攪拌機には囲い等を設けるとともに、蓋が閉ってなければ攪拌機が作動しないようなインターロック機構を設けること |
2 | 「スイッチ入レルナ掃除中」の表示板を掲示することだけではなく、攪拌機の電源を入れると温水機も自動的に電源が入力される配線を改善し、攪拌機と温水機の電源を別々にし、それぞれに電源開閉器を設けること |
3 | 安全作業のための作業標準書を作成し、これをもとに作業者に対して十分な安全衛生教育を行うこと |