タイヤの成型作業中、成型機ドラムとガイドとにはさまれ死亡
業種 | ゴム製品製造業 | |||||
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事業場規模 | 1000人以上 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の一般動力機械 | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護・安全装置が不完全 | |||||
発生要因(人) | 無意識行動 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.101061
発生状況
この災害はトラック・バス用ラジアルタイヤ製造工程において、タイヤの成型作業中に発生したものである。 ラジアルタイヤの成型作業は、タイヤのチューブにあたるインナーライナーを成型機のドラムに貼り、その後、他の部材を順次貼っていくものである。 作業者Aは、タイヤ成型作業中、最初に成型機のドラムに貼り付けたインナーライナーに不良部分を見つけたので、不良インナーライナーを成型機から取り出そうとした。 Aは、操作盤が遠いため足元のマットスイッチを踏み成型機を停止させた後、成型機のドラム上に身を乗り出したところ、バランスを崩し、このためマットスイッチから足が離れてしまい、成型機が突然作動して、タイヤを押さえるガイドが降下し、ドラムとの間にはさまれて被災した。 タイヤ成型機には身体が危険範囲に入った場合に成型機を自動停止させる安全装置が設置されておらず、成型機の操作盤も作業位置から離れていた。 この工場では、非定常作業の作業手順書を作成しておらず、作業者への安全衛生教育も実施していなかった。 |
原因
この災害の原因としては、次のことが考えられる。 | |
1 | 身体が成型機にはさまれる危険性のあるインナーライナーの取出し等の作業について、自動停止させる安全装置が設置されていなかったこと |
2 | 作業位置から操作できる位置に成型機の操作盤を設置していなかったこと |
3 | 非定常作業の作業手順書(非定常作業では操作盤で機械を手動に切り替えて作業を行う)を作成していなかったこと |
4 | 作業者への安全衛生教育を実施していなかったこと |
対策
同種災害を防止するためには、次のような対策が必要である。 | |
1 | インナーライナ−の取出し等の作業では、成型機を自動停止させる安全装置を設置すること |
2 | 作業位置から操作できる位置に成型機の操作盤を移動し、作業者がいつでも成型機を停止できるようにすること |
3 | 非定常作業の作業手順書を作成して、作業者に徹底させること |
4 | 作業の実態を十分に把握した上で、作業の近道・省略行為等によるヒューマンエラーを防止するための安全衛生教育を実施すること |