プレスの金型にはさまれ死亡
業種 | 金属プレス製品製造業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | プレス機械 | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護・安全装置が不完全 | |||||
発生要因(人) | 無意識行動 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.101059
発生状況
この災害は、動力プレス機械を使用して金属の加工作業中に発生したものである。 自動車の板金部品のプレス、溶接、塗装、組立等を行っているY社の工場では、Y社の作業者のほか、いくつかの協力会社の作業者が作業を行っており、協力会社Z社の作業者Aは、4ヶ月前からこの工場で働いていた。 災害発生当日、Aは同じZ社の作業者Bとともに、動力プレス機械を使用してトラックのフレーム補強材(長さ160cm、幅9〜15cm、厚さ2mm)の縁の曲げ加工作業を行っていた。 作業は、動力プレス機械(500tクランクプレス)の前面にBが立ち、Aはプレス機械の後面に立って、一定の寸法にカットされた材料を70枚入りパレットから1枚取り出して2人で金型にセットし、Bが両手押し操作ボタンを押してプレスを作動させて加工し、その後、加工品を取り出して製品用のパレットに積み込むという手順で行われていた。作業を開始して約1時間後、Bが操作ボタンを押したとき、動力プレス機械のスライドがクランク角度約170度のところで停止した。そこで、Bは、動力プレス機械の後面に回ったところ、Aが金型の間にはさまれていた。その後、Aは病院に搬送されたが死亡した。 災害が発生した動力プレス機械には、前面と後面の両方に光線式安全装置が取り付けられていたが、以前から後面の安全装置は故障しており、前面の安全装置のみ作動させて作業していた。Aは何らかの理由により上下の金型の間に身体を入れたところ、光線式安全装置が故障していてAを検知しなかったため、動き出した金型の間にはさまれたものである。 この動力プレス機械は10年前に設置されたものであったが、1度も特定自主検査を行っておらず、安全装置の故障も放置したまま使用していた。なお、工場に設置されている30台の動力プレス機械のうち、特定自主検査が行われていたのは8台だけであった。 この工場にはプレス機械作業主任者の資格者が8名いたが、作業主任者として指名されていたのは事務部門の責任者1名だけで、災害が発生した現場において作業主任者の実質的な職務は行われていなかった。 また、Aは、4ヶ月前に入国した日系2世で、Z社では言葉の問題もあり、雇入れ時の安全衛生教育や動力プレス機械の金型の取付け、取外し等の業務に係る特別教育を実施していなかった。なお、動力プレス機械の取扱いについての実技を含めた教育は、Y社が実施していた。 |
原因
この災害の原因としては、次のことが考えられる。 | |
1 | 動力プレス機械の特定自主検査を行わず、安全装置の故障を放置したまま使用していたこと |
2 | 複数の作業者によるプレス作業において、不意にスライドを起動することによる危険防止措置を講じていなかったこと |
3 | 作業主任者を選任していたものの、その職務を実施していなかったこと |
4 | 作業者に安全衛生教育を行わずに作業に従事させていたこと |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |||||||||||
1 | 動力プレス機械の安全装置を有効な状態で使用すること 動力プレス機械については、1年以内ごとに1回、特定自主検査を行わなければならない。この特定自主検査は、事業場に所属する有資格者もしくは厚生労働省または都道府県労働局に登録した検査業者により実施する必要がある。 また、作業前点検を行い、動力プレス機械や安全装置に異常があった場合は補修等を行わなければならない。 |
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2 | 複数の作業者によるプレス作業においては、一作業者が動力プレス機械の危険限界内にいるときに他の作業者が起動することを防止するため、起動スイッチを作業者ごとに準備し、同時に操作をしなければスライドが起動しないようにする事の安全対策を講じること | ||||||||||
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4 | 作業者に安全教育を実施すること 新規に雇い入れた者に対しては、事業者が作業に従事させる前に安全衛生に関する基本的な事項について安全衛生教育を実施する。 この場合、日本語が十分に通じない外国籍の者に対しても通訳を介す等により安全衛生教育を行うとともに、日本語による表示や緊急時の合図等を周知させる必要がある。 なお、動力プレス機械の金型の取付け等の業務に従事させる場合には、該当する特別教育を実施することも必要となる。 |