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労働災害事例

送迎用マイクロバスで走行中、雪道でスリップし、道路わきに横転

送迎用マイクロバスで走行中、雪道でスリップし、道路わきに横転
業種 肉製品、乳製品製造業
事業場規模 300〜999人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 乗用車、バス、バイク
災害の種類(事故の型) 交通事故(道路)
被害者数
死亡者数:0人 休業者数:6人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 作業環境の欠陥(部外の)
発生要因(人) 危険感覚
発生要因(管理) 不意の危険に対する措置の不履行

No.101046

発生状況

 この災害は、冷凍食品の製造を行うZ社の従業員送迎用のマイクロバスが雪道でスリップし、横転したため、従業員が休業災害を負ったものである。
 Z社の従業員数は、季節的な変動はあるが約300名で、従業員送迎用に大型バス2台、マイクロバス4台を所有し、運行している。
 災害発生当日、会社の終業時間である午後5時で作業が終了したので、大型2種の運転免許を有する従業員(運転経験約10年)が、スタッドレスタイヤを装着している10人乗りマイクロバスに6人の従業員を乗せて自宅に送るため会社を出発した。公道を走行中、右カーブの凍結した路面に粉雪が積もっているところで、マイクロバスの後輪がスリップし、ハンドルを取られて反対車線に飛び出した。さらに、マイクロバスは、スリップして反対向きとなったまま道路から飛び出し、道路わきに横転した。その際、運転手は無傷であったものの、マイクロバスに乗っていた従業員6名全員が負傷した。
 当日の天候は雪で、最高気温が氷点下の日が数日間続いていた。また、マイクロバスは、公道の制限速度である時速60kmで、加速・減速することなく一定の速度で走行していた。
 なお、Z社では、従業員全員が送迎用バスを利用するか、自家用車で通勤していたが、送迎用バスの運転に従事する者をはじめとした従業員に対する交通安全教育は実施していなかった。また、交通事故防止のための取り組みもしていなかった。

原因

 この災害の原因としては、次のことが考えられる。
1  十分減速することなく、カーブに進入したこと
 マイクロバスは、制限速度で走行していたが、カーブの手前で十分減速しなかったため、凍結して粉雪が積もった路面でスリップし、横転した。マイクロバスはスタッドレスタイヤを装着していたが、現場は凍結路面の上に粉雪が積もったカーブで、スタッドレスタイヤではスリップを防ぐことができなかった。
2  会社として、交通安全教育や交通事故防止のための取り組みをしていなかったこと
 Z社では、自家用車で通勤する者を含め自動車による通勤が全てであったのに、マイクロバスの運転者を含め交通安全に対する安全教育を実施していなかった。また、会社として交通事故防止のための取り組みもしていなかった。このため、雪道での安全運転、チェーンの装着等について運転手の認識が不十分であった。

対策

 同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1  カーブの手前では、十分減速させること
 制限速度を守って走行していても、凍結や積雪のあるカーブの手前では、十分減速することを自動車の運転を行う従業員に周知徹底する。
2  交通安全について会社としての取り組みを行うこと
 会社の経営者は、従業員の自動車による通勤時を含めた交通安全のため、次のような取り組みを行うことが重要である。  (1) 道路の危険マップの作成
 事業場の周辺には積雪や凍結による事故を含め交通災害が発生しやすい場所があるので、その情報の収集および自動車運転者のヒヤリ・ハット経験の報告等をもとに道路の危険マップを作成し、通勤用バスの運転者および自家用車による通勤者に示して、運転時の注意を呼びかける。
 (2) 自動車運転者に対する交通安全教育を実施すること
 自動車を運転する者に対しては、定期的に交通安全についての教育を実施する。特に、積雪、路面凍結のおそれのある地域においては、使用するタイヤの交換、チェーンの装着、急ブレーキを使わなくても良い安全速度の保持、カーブに入る前の減速運転、交通KY等について実地訓練を含めた交通安全教育を実施する。