建築資材倉庫において、天井走行クレーンのトロリ線に接触し、感電して死亡した
業種 | 木造家屋建築工事業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 送配電線等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 感電 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | |||||
災害の種類 | ||||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 充電部分の防護なし、不十分 | |||||
発生要因(人) | 無意識行動 | |||||
発生要因(管理) | 危険場所に近づく |
No.101038
発生状況
この災害は、木造家屋建築工事用資材を収納する倉庫において角材を棚の上に積み上げているときに発生した感電災害である。 災害発生当日は、作業者AとBの2人が資材倉庫2階の通路付近に立て掛けてある10cm×20cm×長さ4mの角材18本が通行の邪魔になるので、天井走行クレーンで1階に下ろした後、1階北側の棚に積み上げる作業を行うことにした。 午後2時過ぎに角材を1階にすべて下ろし終えたので、18本の角材を1度で棚に積み上げようと、1階の天井走行クレーンを用いてBがクレーンの操作と玉掛けを行い、Aが補助者となり、角材18本を崩れないようにバンドで束ねたうえで棚の位置までつり上げたが、クレーンの揚程の制限からこれ以上巻き上げることができず、荷を棚に下ろすことが出来なかった。 そこで、クレーンでつり上げる角材を9本に変更してやり直し、バンドで結束された9本の角材を棚に下ろした後、残り9本を1本ずつその上に手積みしたが、そのままにしておくと崩れるおそれがあり危険なので同様にバンドで両端を束ねることとした。 Aが手積みした角材の上に乗り角材の束の一端をバンドで縛り、反対側の端を縛ろうとして背をかがめて移動しているときに背中が天井走行クレーンのトロリ線に接触し感電したものである。 クレーンでの積み上げを終えた際、クレーンの電源を切ることはなく、角材を手積みしているときはトロリ線に給電されたままであり、トロリ線との接触を防止するための覆いや絶縁用防護具はなかった。 また、資材倉庫で行われている資材の運搬、積み下ろし等についての作業手順書は作成されておらず、作業方法については、監督者からの指示はなく、作業者同士が話し合って決めていた。 なお、同事業場では、作業者に対する安全衛生教育は実施されていなかった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 角材の手積み作業時にトロリ線に接触するおそれがあるにもかかわらず、電源 を切らずに作業を行ったこと |
2 | 通電状態のトロリ線に、絶縁用防具を装着する等の感電防止措置を講じていなかったこと |
3 | 作業者に対し、感電災害の防止等の安全衛生教育を実施していなかったこと |
4 | 建築資材の運搬、積み下ろし等の作業手順書を整備していなかったこと |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 天井走行クレーンのトロリ線の近くで作業する場合は、作業を開始する前に電源を遮断し、作業中のトロリ線への給電を停止すること |
2 | 他の作業等との関係でトロリ線への給電を停止できない場合で、トロリ線に接近して作業を行わなければならない場合には、トロリ線の充電電路に絶縁用防具を装着する等の措置を講じること |
3 | 作業者に対し、感電災害の防止等に関する安全教育を実施すること |
4 | 建築資材の運搬、積み下ろし等の作業の安全に関する作業手順書を作成し、その内容を作業者に周知徹底すること |