高所作業車で電気ケーブル撤去作業中、感電し死亡
業種 | 電気通信工事業 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 高所作業車 | |||||
災害の種類(事故の型) | 感電 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 電気通信工事 | ||||
災害の種類 | 電気工事作業 | |||||
被害者数 |
|
|||||
発生要因(物) | 作業手順の誤り | |||||
発生要因(人) | 省略行為 | |||||
発生要因(管理) | 確認しないで次の動作をする |
No.101037
発生状況
この災害は、工場の1次電源断線工事における電気ケーブル撤去作業において、ケーブルの切断部分が作業中の高所作業車の搬器に接触し、搬器全体が通電状態となり、搬器の中にいた作業者が感電したものである。 災害発生当日は、工事の1次下請Y社の現場責任者の指揮のもと、2次下請Z社の作業者7名でケーブル撤去作業を行うことになっており、午前中は高圧ケーブル及び低圧幹線ケーブルの撤去作業が、午後は別の低圧幹線ケーブルの撤去作業が予定されていた。作業者Aは、他の作業者とともに高所作業車の搬器に乗り、天井近くまで上昇した。このとき、天井から垂れ下がっていた通電状態の低圧幹線ケーブルの切断部分が高所作業車の搬器の床面に接触し、搬器全体が通電状態となった。その直後、Aは、ケーブルの撤去作業の前に安全帯のフックを搬器の枠に掛けようと左手で鉄製の枠を握ったため、感電し被災した。ケーブルの切断面は、テーピング等による感電防止処理はされず、剥き出しのままであった。 ケーブルの撤去作業は停電状態で行われる前提であったが、作業手順書では、念のために、まず検電作業を行い、停電状態を確認した上で高所作業車を使って撤去作業を行うことになっていた。午前中の作業では作業手順どおりに検電作業の後、撤去作業が行われたが、午後の作業では、ケーブルの撤去作業前の検電作業が省略されていた。 ところが、午後の作業現場のケーブルは未だ通電状態となっており、しかも、Z社の現場責任者が、停電状態であると勘違いし、作業者に誤った指示をしていた。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 発注者および請負事業者間の連絡が不十分であったため、通電状態のまま作業が行われたこと 災害発生当日は、通電状態のままになっており、感電の危険があった。このように安全上の重要な情報について関係事業者間の連絡が不十分であったため、配線担当の現場責任者に伝わらず、停電状態と勘違いしたまま作業指示が行われた。 |
2 | 作業手順書に従わないで、作業を行ったこと 作業手順書では、ケーブルの撤去作業開始前に検電作業を行うことになっていたが、作業手順書に従わずに検電作業を省略して作業を始めた。 |
3 | ケーブルの切断部分に感電防止処理が施されていなかったこと ケーブルの撤去作業は、停電状態で行われる前提であったため、切断面がテーピングされる等の処理が施されていなかった。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 電気工事は、停電状態で行うことが原則であり、特に複数の事業者が介在する電気工事においては、通電・停電の確実な連絡を行うこと 今回のように、複数の施工業者が作業する場合には、発注者から末端の下請まで通電・停電の連絡を確実に行うことは、災害防止には不可欠である。 |
2 | 作業手順書に従って作業させること この工事では、停電状態で作業を行うことになっており、作業前に検電して停電状態を確認するという作業手順が決められていた。これは、感電防止対策として重要であり、作業者には作業手順を守るよう周知徹底するとともに、作業手順どおりの作業を行っていることを現場責任者が確認することが重要である。 |
3 | ケーブルの切断部分に感電防止処理を施すこと 停電状態での作業が前提であっても、ケーブル切断部分にはテーピング等により絶縁処理を行っておくことも重要である。 |