建築用資材の積み込み中、車両積載形トラッククレーンが横転
業種 | 木造家屋建築工事業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 移動式クレーン | |||||
災害の種類(事故の型) | 激突 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | その他の建築工事 | ||||
災害の種類 | 移動式クレーン | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 不適当な機械、装置の使用 | |||||
発生要因(人) | 省略行為 | |||||
発生要因(管理) | 機械装置を不安定な状態にして放置する |
No.101027
発生状況
この災害は、事業所が所有する建築資材置き場において、車両積載形トラッククレーンを用いて資材の積み込み作業を行っている際に、トラッククレーンが横転したものである。 災害発生当日、作業者AとBの2名は、建築資材置き場に保管していた建築資材をトラッククレーンに積み込む作業を行うため、車両積載形トラッククレーンで資材置き場に到着したが、置き場内に資材が散らかっていて、車両を駐車するスペースがなかったため、敷地に面した公道にトラッククレーンを駐車して資材を積み込むことにした。Bは敷地側(車両右側)にあるアウトリガーを全張り出しにし、積み込み作業を開始した。このとき、反対側(左側)は通行車両の邪魔になるため、アウトリガーを使用せず、トラックのタイヤで重量を支えている状態であった。 Bは、建築資材(重量1t)の玉掛け作業を行った後、Aとともにトラックの荷台に上がり、クレーンの操作を行った。つり荷を敷地側からつり上げ、荷台中央付近に降ろすため徐々にトラッククレーンの後方へ旋回していったところ、ジブが荷台の中心線を越えたあたりでトラック全体が公道側に傾き、そのまま横転した。このとき、AとBは、とっさに道路上に飛び降りたが、Aが負傷した。 Bは、玉掛け技能講習および小型移動式クレーン運転技能講習を修了していた。 災害が発生した資材置き場では、日常的に建築資材のトラックへの積み下ろしが行われていたが、クレーン等、積み下ろしのための設備はなく、車両積載形トラッククレーンを持ち込んで作業を行っていた。また、作業者には、クレーンの安全な操作方法などの安全衛生教育は実施されてなく、作業前ミーティングも行われていなかった。 |
原因
災害の発生原因として、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 建築材料をトラックに積み込んだり積みおろしたりするための専用設備がなかったこと 資材置き場では、日常的に建築資料の搬入・搬出が行われていたにもかかわらず、建築材料をトラックに積み込んだり積みおろしたりするための専用の設備がなく、車両積載形トラッククレーンを使用せざるを得なかった。さらに、当日は、資材置き場が乱雑で、車両積載形トラッククレーンの駐車・作業スペースが取れなかったため、車両積載形トラッククレーンを公道に駐車して、積み込み作業を行った。 |
2 | アウトリガーを片方しか張り出さずにつり上げ作業をしたこと 車両積載形トラッククレーンを駐車した公道を通行する車両の邪魔にならないよう敷地側のアウトリガーしか張り出さなかったため、つり上げた荷がトラックの荷台上で振れたときにバランスを失い、トラックが横転した。 |
3 | 作業者に安全衛生教育を実施していなかったこと 作業者に対し、クレーンの取扱等に関する安全衛生教育を実施しておらず、作業者に安全な作業方法が周知されていなかったため、誤った方法で作業した。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 建築材料をトラックに積み込むための専用設備又はスペースを設けること 日常的に建築資材の積み下ろし作業を行う資材置き場では、建築材料をトラックに積み込むための専用の設備を設けるようにする。これが難しい場合は少なくとも、敷地内を整理・整頓し、トラックを駐車し作業するためのスペースを常に確保しておくことが必要である。 |
2 | アウトリガーは左右とも張り出して、つり上げ作業を行うこと クレーンのアウトリガーは、左右とも張り出した状態で、つり上げ作業を行う。なお、公道にクレーンを駐車して作業を行う場合には、監視人を置き、周囲の安全に配慮することも必要である。 |
3 | 作業者に安全衛生教育等を実施すること 作業者に対し、クレーンの取扱等に関する安全衛生教育を実施するとともに、作業内容と作業手順をあらかじめ勘案し、安全な作業のための作業手順書を作成し、これを作業前ミーティング等で確認することが必要である。 |