クローラクレーンが自走中に転倒
業種 | 港湾海岸工事業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 移動式クレーン | |||||
災害の種類(事故の型) | 転倒 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 港湾海岸工事 | ||||
災害の種類 | 移動式クレーン | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 通路が確保されていない | |||||
発生要因(人) | 無意識行動 | |||||
発生要因(管理) | 機械装置を不意に動かす |
No.101026
発生状況
この災害は、漁港整備工事において、クローラクレーンが岸壁から防波堤に自走して移動する際に転倒したものである。 この工事現場では、クローラクレーン(つり上げ荷重65t)を用いて、型枠にコンクリートを打設する作業、型枠の脱型作業およびコンクリートブロックの据え付け作業を行っていた。災害発生当日、クローラクレーンは、まず岸壁で行われたコンクリート打設作業に用いられ、その終了後、次の作業のために防波堤に移動した。しかし、この移動に際しては、岸壁と防波堤の間の通路が一部狭くなっているため、作業中は最大幅の4.8mとしていたクローラ幅を3.5mに縮小する必要があった。クレーン運転士は、クローラ幅を縮小した後、自走中に上部旋回体を機体後方から前方に旋回させると同時にジブ起伏角を75度に増加させる操作を行った。上部旋回体の向きが真横に位置した時、片側のクローラが浮き上がり、その後、カウンターウェイト側に転倒した。なお、この災害による死傷者はいなかった。 クローラ幅を縮小しても、前後方向の安定性は変わらないことから、クレーン運転士は、当初、バック走行であったものから、自走方向を向くため上部旋回体の旋回操作を行ったものであり、旋回中に横に張り出し邪魔になるジブを起こす操作を同時に行った。 クレーンメーカーは、クローラ幅を縮小するのは、クレーンの機体の解体時と運搬時に限定しており、いずれの際もカウンターウェイトとジブを取り外すよう取扱マニュアルに明記していた。しかし、現場で用意した安全作業マニュアル等では、クローラクレーンの取扱マニュアルの内容が反映されていなかった。 |
原因
災害の発生原因として、次のようなことが考えられる。 | |
1 | クローラ幅を縮小した状態で、旋回とジブの起伏の操作を同時に行ったこと クローラ幅を縮小した状態で、旋回とジブの起しを同時に操作したため、上部旋回体が横を向いた際に、旋回体後部のカウンターウェイトでバランスを失い、転倒した。 |
2 | メーカーが推奨するクローラクレーンの安全な操作方法を作業マニュアル等に反映していなかったこと メーカーが、クローラ幅を縮小したときの安全な取り扱い方法について取扱マニュアルに明記していたにもかかわらず、その内容が作業マニュアルに反映されていなかったため、結果として誤った操作が行われた。 |
3 | クレーン運転士に対し、作業マニュアルに基づく安全教育が行われていなかったこと |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 誤った方法で使用しないこと メーカーは、クローラ幅の縮小を分解と運搬時に限定しており、このときにはジブとカウンターウェイトを取り外すよう推奨しているので、この方法に従ってクレーンを正しく使用する必要がある。 |
2 | 安全な作業手順を計画すること 作業中に存在する危険を可能な限り排除した安全な作業マニュアルを用意し、その内容を作業者に周知させることが重要である。 |
3 | 作業マニュアル等については、クレーン運転士等関係労働者に対し十分教育しておくこと |