荷下ろし作業中にホイールクレーンが転倒
業種 | 鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事業 | |||||
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事業場規模 | 1〜4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 移動式クレーン | |||||
災害の種類(事故の型) | 転倒 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事 | ||||
災害の種類 | 移動式クレーン | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護・安全装置が不完全 | |||||
発生要因(人) | 省略行為 | |||||
発生要因(管理) | 安全装置をはずす、無効にする |
No.101023
発生状況
本災害は、鉄筋コンクリート建屋の新築工事現場における場内の清掃作業において、ホイールクレーンを用いたゴミ袋の荷下ろし作業中にホイールクレーンが転倒したものである。 災害発生当日、午後から、場内の清掃作業に伴い、3階荷取りステージから集積ゴミの荷下ろし作業が行われた。移動式クレーン運転士Aは清掃中の作業者Bの指示により、ホイールクレーン(つり上げ荷重25t)を運転し、3階荷取りステージに集められたコンクリートガラを入れたゴミ袋(重量約180kg)をつり上げ、作業半径14mで旋回した。これを荷下ろしする時、Bが指示する荷下ろし個所よりもさらに前方の集積場所付近に荷を下ろそうとジブを倒していき、作業半径32mになったとき過負荷防止装置の警報ブザーが断続的に鳴り出した。この時、Aは自らの判断で過負荷防止装置の自動停止機能を解除し、さらにジブを倒していったところ、ホイールクレーンの機体後方が浮いたので、あわててつっていたゴミ袋を地上に降ろそうとしたが間にあわず、機体が前方に転倒した。この事故による死傷者はいなかった。 移動式クレーン運転士Aは、元請とホイールクレーンを所有する会社の間の運転士付きリース契約のもと、現場に派遣されていた。Aは、当日の作業前ミーティングには参加しておらず、また、現場の入構時教育も受けていなかった。 |
原因
この災害の原因として、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 移動式クレーン運転士が玉かけ合図者の指示に従わず、自らの判断で荷下ろし場所を変更しようとしたこと ホイールクレーンの作業半径を無理に広げようとしたため、つり荷の重量がホイールクレーンの定格荷重を超えた。 |
2 | 移動式クレーン運転士が、過負荷防止装置の自動停止機能を解除し、ジブを倒したこと 過負荷防止装置の警報が鳴った際、移動式クレーン運転士が自動停止機能を解除して、さらにジブを倒したため、ホイールクレーンがバランスを失った。 |
3 | 移動式クレーン運転士に対し、入構時教育を行っておらず、また、作業前のミーティングにも参加させていなかったこと 移動式クレーン運転士は、必要な安全衛生教育を受けていないため、現場における安全ルールを知らず、当日の作業スケジュールも把握していなかった。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 移動式クレーン運転士には、玉かけ合図者の指示に従って、ホイールクレーンを操作することを徹底させること 移動式クレーン運転士は、玉かけ合図者の指示に従い、慎重にホイールクレーンを操作する必要がある。現場においては、これを徹底させること。 |
2 | 移動式クレーン運転士には、過負荷防止装置の自動停止機能を解除しないよう徹底させること 過負荷防止装置の警報が鳴った際には、さらにホイールクレーンが不安定になるような操作を行わず、周囲の安全を確認して、必要な措置や行動をとることが必要である。過負荷防止装置の自動停止機能を解除することがないようにしなければならない。 |
3 | 現場に入構する者全員を対象に安全衛生教育を実施すること 1日だけ入構する者であっても、例外なく入構時教育を実施し、現場の安全ルールを周知させることが必要である。運転士付きリース契約により現場に派遣された労働者に対しても、元請業者が安全衛生教育を実施し、現場の安全な作業方法を守るよう教育することが重要である。 |