脚立を用いて既設配管の移設作業中、脚立が仮設配線を踏み、作業者が感電
業種 | 建築設備工事業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 送配電線等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 感電 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 建築設備工事 | ||||
災害の種類 | その他の電気 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 作業箇所の間隔空間の不足 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 機械装置を不安定な状態にして放置する |
No.101019
発生状況
この災害は、工場増設に伴う既存配管の移設工事において、作業者4名が感電したものである。 災害発生当日、作業者2名がアルミ製脚立を用いて、既設配管の移設作業を行っていたところ、脚立の足で200ボルトの仮設配線を踏んでしまった。そのため配線の被覆が剥がれ落ち、脚立に上っていた作業者2名が感電したものである。また、このとき感電した2名が大声を出し、脚立から墜落しそうになったため、これを助けようとした別の作業者2名がアルミ脚立に近づいた際に、脚立に触れ、この2名も感電したものである。 仮設配線は、絶縁被覆が完全ではなく、養生もされていなかった。また、作業に用いていた脚立は、滑り止めのゴムが損傷した状態であり、このため高所での作業者の動きに反応して容易に移動する状態であった。 なお、本工事において、感電による被災者の救出方法などを定めた緊急時の対応マニュアルは用意されていなかった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 絶縁被覆が完全ではない仮設配線を使用したこと |
2 | 仮設配線を踏まないような養生をしないまま、作業を行ったこと |
3 | 脚立の滑り止めゴムの損傷を改善しないまま、作業を行ったこと 脚立の滑り止めゴムの損傷した脚立は摩擦抵抗が小さくなっており、作業者の動きに反応して水平移動しやすい状態であった。 |
4 | 感電による被災者の救出方法などを定めた緊急時の対応マニュアルが用意されていなかったこと |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 使用する仮設配線の絶縁被覆を作業前に点検すること 仮設配線の絶縁被覆の状況を作業前に点検し、絶縁被覆が損傷している場合には、交換または補修などの措置を講じることが必要である。 |
2 | 仮設配線を踏まないように養生をして、作業を行うこと 床を這わせる仮設配線には、これを踏むことがないように覆いをするなど養生をした上で作業を行う。 |
3 | 脚立が作業者の動きによっても容易に移動しないようにすること 脚立の滑り止めが損傷している場合には速やかに交換又は補修を行い、作業中に脚立が容易に動かないようにすることが必要である。 |
4 | 緊急時の対応マニュアルを整備すること 感電による被災者の救出方法など緊急時の対応マニュアルを整備するとともに、その内容を作業者に周知徹底すること。 |