仮設桟橋上でクローラクレーンを用いて荷のつり上げ作業中、荷振れを起こし、その反動で転落
業種 | 橋梁建設工事業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 移動式クレーン | |||||
災害の種類(事故の型) | 墜落、転落 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 橋梁建設工事 | ||||
災害の種類 | 移動式クレーン | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 作業手順の誤り | |||||
発生要因(人) | 省略行為 | |||||
発生要因(管理) | 荷等の積み過ぎ |
No.101018
発生状況
この災害は、橋梁建設工事において、下請業者の作業者が仮設桟橋上でクローラクレーンを用いて荷のつり上げ作業を行っていたところ、操作方法を誤り、荷振れを起こしたため、その反動でクレーンが約8mの高さから作業者とともに転落したものである。 災害発生当日は、クローラクレーンを用いて、掘削作業に使用するケーシングパイプのつり上げ作業が行われていた。ケーシングパイプはその重量とクレーンの定格荷重との関係で、1本ずつつり上げることが事前の元請と下請業者との打合せで確認されていたが、当日は、作業時間を短縮するため下請業者の判断でケーシングパイプを2本つなげた状態で、つり上げ作業を行った。そのときの荷の重さは、定格荷重に近かったため、過負荷防止装置が作動し、連続的な警告音と黄色のランプが点滅していた。 そこでクレーンの運転者は、荷をつったままジブを急激に起こした。そのため荷振れをおこし、その反動で仮設桟橋から、クローラクレーンとともに墜落したものである。 なお、当日の作業方法の変更については、下請業者から元請に伝えられていなかった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 荷の重量やクレーンの性能を考慮せずに下請業者の判断で作業工程を変更したこと 作業工程は、ケーシングパイプの重量、クレーンの定格荷重、作業半径等を考慮して、元請と下請業者との事前の打合せにより決定されていたが、これを下請業者が独断で作業工程を変更した結果、定格荷重に近い荷を、無理につり上げる作業となった。 |
2 | 作業工程の変更について元請に伝えられていなかったこと 作業工程の変更等の作業についての情報が下請業者から元請に伝えられていない等、安全管理体制に問題があった。 |
3 | 作業者がクレーンの急激な操作を行ったこと 過負荷防止装置が作動した際、クレーンの運転者がとっさに判断を誤り、クレーンのジブを急に起伏させたため、クレーンを仮設桟橋から転倒に至らしめるような、大きな荷振れが生じた。 作業工程は、元請と下請業者との打合せが行われた際に決定されていたが、当該作業を実際に担当する下請のみの判断で、作業省略等の変更が行われた結果、安全面での配慮がなされなかった。 |
対策
同種災害を防止するためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 安全に作業できるよう計画された作業工程を変更しないこと クレーン作業の工程は、作業の内容、荷の重量、クレーンの定格荷重、作業半径などを考慮して、安全に作業が行えるよう計画されているので、安全に配慮することなく変更しないようにする。また、下請業者はその内容に忠実に従って作業を行うこと。また、やむを得ない変更が必要な場合は、元請に連絡を取り、相談をした上で変更する。 |
2 | 安全管理体制を整備すること 元請と下請業者の連絡・協力体制を強固なものとし、現場で生じた問題点の早期解決を図ることができる、あるいはその情報伝達機能を有する安全管理体制を整えること。 |
3 | クレーンの運転は、急激な操作を行わないようにすること 特に、過負荷防止装置が作動した際には、あわてないで、かつ速やかに、荷のつり上げ作業の中止をすることが重要である。 |