解体したクライミングクレーンの部材の巻き下げ中、ジブクレーンのボルトが破断しクレーンが倒壊
業種 | 土木工事業 | |||||
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事業場規模 | 1〜4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | クレーン | |||||
災害の種類(事故の型) | 崩壊、倒壊 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事 | ||||
災害の種類 | クレーン等で運搬中のものが飛来・落下 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 組立、工作の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 錯誤など | |||||
発生要因(管理) | 荷等の積み過ぎ |
No.101016
発生状況
本災害は、解体されたクライミングクレーンの部材をジブクレーンでつり上げ後、巻き下げを開始したところ、ジブクレーンの旋回ベアリングを取り付けているボルトが破断し、旋回フレームが倒壊したものである。 災害当日は、31階建ビルの建築工事現場の屋上で工事に使用したクライミングクレーンをジブクレーン(定格荷重1t)によって小分け・解体作業を行っているところであった。クライミングクレーンに取り付けられていた巻上げ装置の一部分(1.44t)をつり上げ後、地上に下ろすために巻き下げを開始したところ、ジブクレーンの旋回ベアリングを取り付けているボルトが次々と破断し、旋回ベアリングから旋回フレームの後部が浮き上がり、ジブクレーン上部全体が倒壊し、荷とともに約140m下の地上に落下した。その際に、建物の窓に部材の一部が接触してガラスが割れ、飛散した。このガラスにより、地上のバリケードの外側にいた作業者Aが負傷したものである。 旋回ベアリングは12本のボルトで固定されるべきものが、2本欠落しており、さらに10本のうち2本のボルトはナット部分が半分程度の長さであった。ボルトが欠落していた2個所は旋回フレームのボックス構造部であり、点検時に見落としやすい構造であったため、現場に設置する前の出庫時検査の際、ボルトが2本不足していることを確認できなかった。 また、作業指揮者Bはクライミングクレーン重量表により部材重量を目安として解体していたが、巻上装置取り付けフレームの記載はなかった。なお、Bはクレーン組立・解体作業指揮者に対する安全教育を受講していなかった。 |
原因
災害の発生原因として、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 旋回ベアリングを取り付けるボルトの本数が不足していたこと 本来は12本のボルトで固定されるべきものが、10本であったことに加え、現場に設置する前の出庫時検査の際にもボルトが2本不足していることを確認できなかったことから、ボルトにかかる荷重が破断荷重を超えた。 |
2 | クライミングクレーン重量表にすべての部材の重量が記載されていなかったこと クライミングクレーン重量表に巻上装置取り付けフレームの記載がなく、作業指揮者Bがフレームの重量を考慮しないまま巻上装置をつり上げたため、過荷重となった。 |
3 | 作業指揮者に必要な安全教育を受講していなかったこと 作業指揮者Bはクレーン組立・解体作業指揮者に対する安全教育を受講していなかったことから、必要な知識が不足したまま作業指揮を行っていた。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 旋回ベアリングは決められたボルト数にて固定すること 旋回ベアリングを固定するボルトは、決められた本数で固定するとともに、現場に設置する前の出庫時や設置後の検査で確認をする。 |
2 | クライミングクレーンの解体は取り付け最小分割になるように接続部を取り外すこと 作業指揮者は、あらかじめクライミングクレーン重量表により部材の重量がジブクレーンの定格荷重を超えていないことを確認するとともに、解体に当たっては最小分割となるようにすること。また、重量表に記載されていない部材があった場合には、その重量を確認してから下ろすことが重要である。 |
3 | 作業指揮者にクレーン組立・解体作業指揮者に対する安全教育を受講させること 作業指揮者には、安全衛生教育推進要綱に基づく教育としてクレーン組立・解体作業指揮者に対する安全教育等を受講させ、当該作業の危険防止のため十分な検討を行わせることが必要である。 |