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労働災害事例

緑茶製造工場で茶葉の混合攪拌装置の点検をしていた作業者が動力伝導部分に巻き込まれ死亡

緑茶製造工場で茶葉の混合攪拌装置の点検をしていた作業者が動力伝導部分に巻き込まれ死亡
業種 その他の食料品製造業
事業場規模 16〜29人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 食品加工用機械
災害の種類(事故の型) はさまれ、巻き込まれ
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:−
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.101006

発生状況

 この災害は、製茶工場の茶葉攪拌装置の点検中、装置の危険範囲内に立ち入った作業者が装置に巻き込まれ被災したものである。
 災害発生当日、作業者Aは、作業者Bと茶葉の乾燥・混合の作業を行っていたが、昼休み後「今日は混合攪拌装置を点検したら帰る」とBに告げた。その後、Bは混合攪拌装置の周囲にAが見えないことおよび操作盤に点検中等の表示がないことを確認した後、同装置を自動にセットした後、周囲の清掃、後片付け等をしていたが、突然Aの叫び声を聞き、同装置を見たところ、Aが動力部のチェーンに巻き込まれているのを発見した。
 同装置の動力伝導部分には、巻き込まれ防止のカバーや立ち入りを制限する柵等は取り付けられておらず、危険範囲に作業者が立ち入った際に同装置が自動停止する等の安全装置も設置されていなかった。
 なお、混合攪拌装置の操作にかかる作業手順書は作成されていたが、同装置の点検、清掃等については記載されていなかった。また、作業者には、同装置の取り扱い作業に関する安全衛生教育は実施されていなかった。

原因

 災害の発生原因として、次のことが考えられる。
1  混合攪拌装置の動力伝導部分にカバー、柵等の安全防護がなく、危険範囲に作業者が立ち入ったときに自動停止する安全装置もなかったこと
2  混合攪拌装置の点検、清掃等についての作業手順書が整備されていなかったこと
 混合攪拌装置の操作に関する作業手順書は作成されていたが、同装置の点検、清掃等については記載されていなかったため、Aは操作盤に点検中の表示をすることなく点検を行っていたにもかかわらず、Bがこれに気付かず装置を稼動させた。
3  混合攪拌装置の取り扱い作業に関する安全衛生教育は実施されていなかったこと
 関係する作業の危険性、安全な作業方法等について、安全衛生教育が行われておらず、混合攪拌装置の動力伝導部分に巻き込まれる危険があることを作業者に周知していなかった。

対策

 同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1  装置の巻き込まれ危険範囲にはカバー、柵等の安全防護を講じるほか、危険範囲に作業者が立ち入ったときに装置が自動停止する安全装置を設けること
 機械・装置の巻き込まれ等危険個所には、運転中に作業者が接近できないようカバーや危険個所への立ち入りを制限する柵等を取り付ける。また、危険範囲に作業者が立ち入った際に装置が自動停止する等の安全装置を設けることも必要である。
2  装置の点検、清掃等についての作業手順書を整備すること
 機械・装置の作業手順書には、通常の運転操作のほか、点検、清掃等の非定常作業についても記載する。また、点検作業中は、操作盤に「点検中」の表示をする等、安全のポイントを作業手順書に明記することも必要である。
3  装置の取り扱い作業に関する安全衛生教育を実施すること
 作業者に対し、作業手順書の内容も含めた安全衛生教育を実施し、混合攪拌装置等、動力伝導部分に巻き込まれる危険がある機械・装置については、巻き込まれの危険があることを作業者に周知させることが重要である。