庭石等を研磨・販売する工場において庭石を研磨する円筒形ドラムの駆動部分に作業者がはさまれ死亡
業種 | 窯業土石製品製造業 | |||||
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事業場規模 | 1〜4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 混合機、粉砕機 | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護・安全装置がない | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.101003
発生状況
この災害は、庭石の加工工場において、円筒型ドラムを用いて庭石の研磨作業を行っていた作業者が、単独で設備の点検作業を行っていた際に発生したものである。 同筒型ドラムを用いた研磨作業の手順は次のようなものであった。 |
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(1)研磨用の円筒形ドラム内に研磨する庭石と研磨剤である砂利、砂、水を入れる。 |
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(2)ドラムを回転させるための回転装置の上にドラムをクレーンで移動・設置する。 |
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(3)回転装置のタイヤによりドラムを5〜6時間回転させることにより庭石を研磨する。 |
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(4)ドラムの中の水を捨てた後ドラムをクレーンで回転装置から下ろす。 |
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(5)中の砂利、庭石を取り出す。 |
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また、これら一連の作業を行っている最中にドラムから流れ出る砂や砂利が回転装置の下部に堆積し、回転装置のローラーを損傷するため、週に1〜2回、堆積した土砂を洗い流していた。 災害発生当日、被災者は同僚とともに2台の回転装置を用いて作業を開始したが、仕込み後は特に作業がないため、同僚の指導のもと、クレーン運転の練習等をしていた。その後、同僚が他の作業を開始したため被災者はクレーン運転の練習を中断した。しばらくして同僚が被災者の姿が見えないのに気づき回転装置設置場所に向ったところ、回転装置のローラーにはさまれている被災者を見つけた。現場には回転装置の土砂を洗い流すためのホースから水が出たままの状態になっており、洗浄作業を行っている最中に何らかのはずみで体の一部がローラーに巻き込まれたものである。なお、ドラム周辺には安全柵等が設置されておらず、また、本作業に関しての作業手順書の作成や安全衛生教育の実施も行われていなかった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 庭石の研磨ドラムに安全柵等が設置されていなかったこと 直接の要因としては、ドラムを駆動する動力部分には人が立ち入れないような柵、防護壁等が設置されておらず、また巻き込まれるおそれのあるモーターにもカバー等が設けられていなかった。 |
2 | 作業手順書がなかったこと 本災害が発生した作業は日常の作業であるが、当該事業場は小規模で、家族で行っている事業でもあり作業手順書を作成していなかった。また、その中でも庭石研磨中のドラム下部洗浄作業等については巻き込まれ等通常では起こりえないような事態が起きる可能性があるが、これについても作業標準の作成がなされていなかった。 |
3 | 当該装置に関する安全衛生教育が行われていなかったこと 庭石の研磨装置は重量物を内容物として回転するものであり、作業時に巻き込まれると重大な事故が発生する可能性があることを関係者が認識していなかった。また、機械の運転中に機械の近傍に近づかないようにする等、安全衛生教育が行われていなかった。 |
4 | 連絡体制に不備があったこと この災害においては、被災者が事故にあう前に何をしていたかがはっきりしておらず、作業の指示もなされていなかった。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 安全柵等の設置 作業者が接触するおそれのある動力部分については、作業者が接触しないよう柵やカバー等を設けるほか、これらが開放された際に自動的に停止するための安全装置を設置すること。 |
2 | 適切な作業手順書の作成 事業場における各種作業に関しては、作業手順書を作成し、これに基づき作業を行うこと。特に安全確保の観点から想定される異常事態、起こりうる危険な状態について対策を講じ、その内容については明確に作業手順書内に記載すること。 |
3 | 安全衛生教育の実施 従事する作業者には事前に作業手順書の内容について教育を行うこと。また、特に予想される異常事態、危険等についても教育を行うとともに、安全装置等については実地に取扱い方法について教育を行うこと |
4 | 連絡体制の整備 日常の作業においては作業前にその日の作業等について関係者間で打ち合わせ・確認を行うなどコミュニケーションを図ること。また、異常事態発生時の連絡体制についてもこれを書面で作成し、関係者に周知すること。 |