加工食品工場で食品攪拌装置の洗浄作業中攪拌羽に巻き込まれ死亡
業種 | その他の食料品製造業 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 食品加工用機械 | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
被害者数 |
|
|||||
発生要因(物) | 防護・安全装置がない | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 機械装置を不意に動かす |
No.101002
発生状況
この災害は、加工食品工場で食品攪拌装置の洗浄作業中に発生したものである。 災害発生当日、作業者Aは加熱室にあるニーダー(U字型の蒸気二重ガマ)を使用し同僚とともに煮込みの調味加熱作業を行っていた。作業は、対象となる食品をニーダーに仕込み、調味、攪拌、調理を行ったあとビニールパックに充填するというものであった。これらの作業終了後、被災者はいつもの通り単独でニーダー内部の洗浄作業を始めた。洗浄作業は(1)ニーダーを90度回転させ開口部を正面に向け、ホースで水をかける(2)落ちない汚れがある場合にはタワシでこすりながら水をかけるという手順となっていた。 しばらくして他の作業者が引き続き作業を開始するためにニーダーの設置してある調理室に来ると、Aがニーダーの攪拌羽にはさまれぐったりしているのを発見した。 Aは洗浄作業中に、何らかのはずみで釜内部に倒れこみ、同時に回転していた攪拌羽に挟まれ被災したものである。災害の起きたニーダーは通常、攪拌羽を回転させながら、開口部から原料や調味料を投入する為、回転を止めるための安全装置はなかった。 また、本作業に関しての作業手順書はなく、作業者に対する安全教育も実施されていなかった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | ニーダーに安全装置が設置されていなかったこと 被災の直接の要因としてはニーダーに安全装置がなく、回転した攪拌羽はニーダー開口時に停止する構造になっていなかったことが挙げられる。このことから作業者が内部で作業中、何らかの拍子に攪拌羽のスイッチが作動した場合今回のような重大な結果を引き起こすことになる。 |
2 | 作業手順書がなかったこと 製造作業後の点検、清掃、洗浄作業等では通常では起こりえないような事態が考えられる。本災害が発生した洗浄作業は日常的に行われているが、作業手順書により異常時の処理手順等は定められていなかった。 |
3 | ニーダーの取扱いに関して安全教育が行われていなかったこと 当該装置は製造作業中、巻き込まれによる危険があることなどについてあらかじめ教育がなされていなかった。 |
4 | 連絡体制に不備があったこと この災害においては事前の安全対策、準備、検討等が不十分であった。特に関係者の事前の打ち合わせ及びコミュニケーションが不足していた。このため被災者の作業内容等についても関係者がこれを細かく把握しておらずこれが災害につながったものと考えられる。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 安全装置の設置 ニーダ等作業者が接触するおそれのある回転部分を有する動力機械については作業者が回転部分に接触しないよう回転部分に覆い、蓋等を設けること。これらが開放された際に自動的に停止するための安全装置を設置すること。 |
2 | 作業手順書の作成 作業場における各種作業に関しては非定常作業も含めて作業手順書を作成し、これに基づき作業を行うこと。特に安全確保の観点から想定される異常事態、起こりうる危険な状態について対策を講じ、その内容については明確に作業手順書内に記載すること。 |
3 | 安全衛生教育の実施 作業に従事する労働者には事前に作業手順書の内容について教育を行うこと。また、特に予想される異常事態、危険等についても教育を行うとともに、安全装置等については実地に取り扱い方法について教育を行うこと。 |
4 | 打合せ等の実施 日常の作業においては作業前にその日の作業等について関係者間で打ち合わせ・確認を行うなどコミュニケーションを図ること。また、異常事態発生時の連絡体制についてもこれを書面で作成し、関係者間に周知すること。 |