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労働災害事例

鉄道の枕木交換作業において通過中の列車と接触し死亡

鉄道の枕木交換作業において通過中の列車と接触し死亡
業種 鉄道・軌道・水運・航空業
事業場規模 100〜299人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 鉄道車両
災害の種類(事故の型) 交通事故(その他)
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:−
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物) 交通の危険
発生要因(人) 無意識行動
発生要因(管理) 危険場所に近づく

No.100993

発生状況

 この災害は、鉄道の枕木交換作業において、列車の通過を待つため待機していた際に発生したものである。
 災害発生当日は、午前8時頃より枕木の交換作業を開始し、午前11時頃までに交換作業を全て終了した。その後、最終調整として、レールの水平確保のためのジャッキをセットした。このとき、列車通過予定時刻まで2分しかないため、作業の続行が難しいと職長Aが判断し、全作業者は待機場所で待機することとした。
 待機場所において、全作業者が発注者の列車接触事故防止要領により片手を水平に上げ、当該列車通過時に手を下ろした。同時に作業者Bが列車進行方向を見たところ、列車に背を向け携帯電話で話をしている作業責任者Cを発見した。災害発生当時、列車の見張り員は無線を聞いていただけで、特に監視はしていなかった。BはCが列車に接触する恐れがあると感じ、「おーい」と叫んで注意を促したが、間に合わず、Cは列車と接触した。

原因

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1  列車の通過を待っていたにもかかわらず、被災者が携帯電話での会話に気を取られ、無意識の内に歩き出してしまったため、線路に接近したこと。
2  被災者である作業責任者が、列車接触事故防止要領による職務に応じた「待機確認の手順」を行わなかったこと。
3  列車見張り員が、職務に応じた「待機確認の手順」を行わなかったこと。
 列車見張り員は、今回の作業は列車に対する緊急の対処の必要性が少ないと判断し、特に監視もせず無線を聞いていただけであった。

対策

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1  列車が通過する軌道場所での作業に従事する者に対し、携帯電話の使用など、待機合図、指示の伝達等に支障がある行動を例示して関係者全員に周知・徹底すること。
2  作業責任者、列車見張り員、または、その職務に就くことが予定されている者に対し、「待機確認の手順」について再教育を実施して、各々の職務励行を徹底させること。
3  列車見張り員と軌道付近での作業者との連絡を密にし、特に列車通過時においては見張り員に軌道に接近する者がいないことを常に監視させること。
4  見張り員は、軌道に接近する作業者がいる場合には早目に連絡をとり、軌道から退避させること。
軌道内等の作業における列車との接触災害防止のためのガイドラインの策定について(平成11年9月16日 基発第550号)