宅地造成地において法面を組み上げる作業中、緑化ウォールブロックが崩壊し下敷きになる
業種 | 土地整理土木工事業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 建築物、構築物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 崩壊、倒壊 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 土地整理土木工事 | ||||
災害の種類 | 土砂崩壊 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 組立、工作の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 無意識行動 | |||||
発生要因(管理) | 荷等の積み過ぎ |
No.100969
発生状況
この災害は、宅地造成地で法面用の緑化ブロックを積み上げる作業中、積み上げた緑化ブロックが倒壊し、被災者4名が下敷きになったものである。 当該作業現場は、比較的幅の狭い道路しか利用できなかったこと、加えて道路と法面との間には、既設の電線が設置されていたことから、当初使用予定であったクレーンが使用できなかった。そこで車両積載形トラッククレーンを用いてブロック積みの作業が行われたが、当該作業は、下請けの現場作業者が行うのではなく、緑化ブロックの配送業者に行わせていた。また、その指揮・命令は、現場責任者によるものではなく、一般の作業員によって行われていた。ブロックは、下段を固定せずに積み上げると、後方へブロックが倒壊する恐れがあったので、ブロック製造業者から積み上げ前に下段ブロックを固定するよう指定されていた。にもかかわらず当該災害現場では、このことを守らず緑化ブロックの積み上げ工事を行い、倒壊に至ったものである。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 倒壊した緑化ブロックは、下段を固定せずに積み上げると、2段目であっても倒壊の危険性があるものであった。にもかかわらず、当該現場では、緑化ブロックの積み上げに際し、下段の緑化ブロックの固定を怠ったこと。 |
2 | 被災者らは、法面と緑化ブロックの間に生じた隙間を埋め戻す作業を行っていたが、緑化ブロックの積み上げ作業時においても、この隙間内で作業を続行していたこと。 |
3 | 緑化ブロックの積み上げは、下請け業者の従業員によって当初のクレーンにより行う予定であったが、実際の現場では、ブロックの配送業者に車両積載形トラッククレーンによりこれを行わせていたこと。しかも、この配送業者は移動式クレーン運転士資格がなかったこと。 |
4 | 作業の指揮・命令が現場責任者によって行われておらず、作業員が適当に行っていたこと。 |
5 | 下請け業者が元請の指示を無視していたこと。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 緑化ブロックの積み上げでは、緑化ブロックの製造業者の指定する方法により施工を行うこと。 |
2 | 重量物の積み上げ作業時には、作業員は、移動式クレーン作業を行っている周辺に近づかないこと。作業がある場合は、一旦その場から離れ、安全が確保されていることを確認してから作業現場に戻ること。 |
3 | 移動式クレーンによる荷の運搬作業を行う場合は、資格のある者に行わせること。 |
4 | 作業の指揮・監督をする者を選任し、その者に現場管理を行わせること。 |
5 | 下請と元請の連絡・協力体制を確保し、下請は元請の指示に従って作業を進めること。 |
6 | 緑化ブロックの施工に対応した安全教育を実施し、作業員に適切な作業手順・方法を教育すること。また作業現場に適した危険予知活動を行うこと。 |