アンケートにご協力お願いします。

石油精製所の水管式自然循環ボイラーの過熱器管が破裂

  労働災害事例イラスト イラストをクリックすると拡大表示されます
発生状況
 この事故は、石油精製所の水管式自然循環ボイラーで発生したものである。
 この精製所では、原油からLPG、ガソリン、ナフサ、ベンゼン、灯油、軽油、重油、アスファルト等を生産している。
 当日の午前0時20分頃、構内を巡視していた者が、3号ボイラー付近を通っていたときに蒸気の漏洩音を聞いたが、その場所が特定できないまま次の場所に移動した。
 ところが、午前0時30分頃、コントロールルームのメーターに3号ボイラーが異常な状態であることが表示されたので、コントロールルームにいた当直の班長はオペレーターに3号ボイラーの運転停止を指示した。
 その後、午前1時頃からボイラーから蒸気を供給している設備につながっている各バルブを閉止してボイラーを各系統から切り離した。その後ブローによって内部の圧力を0mPaまで減少させる作業に入るとともに、空気ポンプでボイラーの炉にエアーを送って内部を冷却させる作業を行った結果、午前7時の段階で炉内温度が67℃まで低下した。
 そして、炉内温度が低下してから3号ボイラーの開放検査を行ったところ、ボイラーの内部に設置されているNo.1およびNo.2過熱器管(燃焼ガスの放射と煙道ガスの対流により湿り飽和蒸気をさらに過熱して過熱蒸気を作るためのもの)のうち、No.1過熱器管(外径38.0mm、厚さ3.5mm)の中央部付近に、内圧を受けて発生したと思われる亀裂(管の軸方向への割れ180mm、周方向への割れ80mm)が発見された。また、3号ボイラーのドラム側に向かって過熱器管が歪曲していた。
 なお、この事故による人身への被害はなかった。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 過熱器管が破裂したこと
 この事故は、過熱器管が破裂したことが原因で発生したものであるが、破裂に至るまでの経緯としては次のようなことが考えられる。
 この管はクロムを0.5%含有しているが、ほぼ鉄で構成されているため燃焼の際に生ずる酸化ガスにより鉄が酸化され、管の外壁に酸化皮膜を生ずる。⇒酸化皮膜は、管の構成部材と膨張率が異なるため、温度変化によってその部分に応力が生じ酸化皮膜が剥離する。⇒酸化皮膜の剥離した部分が再び酸化され、それがまた剥離するという現象が繰り返されて、管外壁の減肉が生ずる。⇒最終的に、減肉した部分が管の内圧による耐力を越え破裂した。また、燃焼室と過熱器管内との圧力差により過熱器管がボイラーのドラム方向に歪曲した。
2 スートブロー装置の位置が適切でなかったこと
 過熱器管の減肉は、ボイラーを通常継続運転していると生ずる。
 しかし、破裂した過熱器管を開放して調査したところ、過熱器管の減肉の位置がスートブロー(ボイラー燃料によっては加熱器管等の外壁に煤が付着するので、それを除去するためにノズルから蒸気を噴射する動作)の動作線上にある跡と一致していた。従って、スートブロー管内に残っていたドレンの除去が不十分であったため、ドレンアタック(スートブロー内にたまった蒸気が冷えてドレンとなっているのを、そのまま噴射することによる現象)による過熱器管の局部的な温度差と圧力変化が生じて酸化皮膜の剥離を促進し、著しい減肉現象に至ったものと推定される。
3 ボイラーの管理が不十分であったこと
 ボイラーは、重要なエネルギー源であるが、高温高圧で使用されることから過熱器管等に経年変化が生ずるのに、それらを勘案した管理を十分に行っていなかった。
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 スートブローの手順を確認すること
 スートブローによって加熱器管等の外壁の煤を除去する措置を行う場合には、スートブロー管などに残っているドレンの除去を確実に除去する手順(ドレンの除去時間を十分にとる等)とそれを確認する手順を明確に定め関係作業者に徹底する。
2 スートブロー装置の構造等を再検討すること
 加熱器管等の外壁の煤を除去する措置として、減肉のおそれがあるスートブローによらない方法の採用を検討する。
 それが困難な場合には、ドレンアタックによるアタックを受けて減肉が生ずるおそれのある加熱器管等の部分に直接ドレンアタックを受けないような構造あるいは加熱器管等の構造、配置について基本的な検討を行う。
 なお、加熱器管以外の設備等で、スートブローを行うものについてもドレンアタックによる影響について検討し、必要な改善措置を行う。
3 適切なボイラー管理とリスクアセスメントを実施すること
 連続運転を行っているボイラー等については、登録性能機関による性能検査の期間が延長される制度があるが、ボイラー運転中に生じた異常あるいは定期自主検査時等に得られた情報を詳細に把握分析して、臨時の検査を行うなど適切なボイラー管理を実施する。
 とくに、この事故のような事象が発生した場合には、当該装置全体もちろんのこと、類似の他のボイラーについてリスクアセスメントを実施し、必要な改善措置を実施する。
業種 石油製品・石炭製品製造業
事業場規模 100〜299人
機械設備・有害物質の種類(起因物) ボイラー
災害の種類(事故の型) 破裂
被害者数
死亡者数:− 休業者数:−
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物) 設計不良
発生要因(人) 危険感覚
発生要因(管理) 機械装置を不安定な状態にして放置する
NO.100924
このページのトップへ戻ります
アンケートにご協力お願いします。