送電線直下の雑木伐採中の作業者が熱中症にかかる
業種 | その他 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 高温・低温環境 | |||||
災害の種類(事故の型) | 高温・低温の物との接触 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | その他の建設工事 | ||||
災害の種類 | 心不全等 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.100901
発生状況
この災害は、送電線の直下の雑木伐採作業中、熱中症にかかったものである。
送電線と樹木等との距離は放電等を防止するため、離隔距離が定められている。 被災者が所属する会社は、災害が発生する1週間前から1ヶ月の期間で送電線の直下の雑木伐採作業を請け負っていた。 伐採作業は、チェーンソーと刈払機を用いて、送電線直下に生えている樹木の伐採および下刈りを行うものである。 災害が発生した日、8時30分頃、現場責任者および作業員8名が現場に到着し、朝礼が行われ、現場責任者から伐採および刈払い作業中の作業範囲内への立入禁止などについての安全確認が行われ、各自氷水を入れたペットボトルを携行してそれぞれの作業を開始した。 現場責任者と被災者は、チェーンソーを用いて伐採の作業をそれぞれ開始した。 午前10時に10分間の休憩をとり、12時に昼食の休憩をとり、午後1時から作業が再開された。 午後2時に20分間の休憩をとり、さらに午後3時30分に休憩をとろうしたところ、被災者が見当たらないので探したところ作業場所に倒れている被災者を現場責任者が見つけ、「大丈夫か」と声をかけたところ「大丈夫だ」と応答したが、直ちに、救急車により病院に搬送した。病院に到着後間もなく熱中症による死亡が確認された。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 炎天下でのチェーンソー作業という重筋作業を行っていたこと。 当日の天候は晴れ、15時の気温は27.4℃、作業開始から災害発生時刻までの日照は100%であった。 |
2 | 作業場所が、日陰のない直射日光の強い場所であり、直射日光を遮るような対策が十分に講じられていなかったこと。 |
3 | 作業中の発汗が激しく、塩分の補給が不足していたこと。また、用意していた氷水(750ml水筒)の量が十分でなかったこと。 |
4 | 作業管理が不適切であったため、休憩のほか小休止をとることなく連続作業が継続されていたことにより疲労が蓄積していたものと考えられること。 |
5 | 炎天下における作業を行うとき、事業者および作業者全員が熱射病の危険に関する認識が欠如していたこと。 |
6 | 作業者の健康状態を十分把握していなかったこと。 被災者は60才を超える高齢で、約4ヶ月前に雇用された者であるが、雇い入れ時の健康診断も実施していない。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 炎天下で作業を行わせるときは、作業場所の近隣に日陰などの涼しい休憩場所を確保し、気温、作業内容、作業者の年齢・健康状態などを考慮して、作業休止時間や休憩時間の確保に努めること。
特に、高齢者の1人作業は注意が必要である。 |
2 | チェーンソーを使わない他の作業と計画的に組み合わせ、チェーンソーの操作時間は1日2時間以内とし、連続操作時間は10分以内とするなどの作業標準を策定し、作業管理を徹底すること。 |
3 | 炎天下で作業を行うときは、作業場所にスポーツドリンクを備え付けるなど水分や塩分を容易に補給できるようにすること。 |
4 | 作業場所に温度計や湿度計を設置し、作業中の温湿度の変化に留意すること。なお、環境温度を総合的に評価する指標を示す測定器の備え付けも効果的であること。 |
5 | 休憩場所に体温計を備え付け、休憩時間などに体温を測定させることが望ましいこと。 |
6 | 熱中症の症状、熱中症の予防方法、緊急時の救急措置、熱中症の事例などについて労働衛生教育を実施すること。 |