排水処理施設建設工事において、鉄筋組立用足場の解体作業中の作業者が熱中症にかかる
業種 | 上下水道工事業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 高温・低温環境 | |||||
災害の種類(事故の型) | 高温・低温の物との接触 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | その他の土木工事 | ||||
災害の種類 | 心不全等 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.100887
発生状況
この災害は、排水処理施設の建設工事において、底盤基礎の鉄筋組立用足場の解体作業中に発生したものである。
被災者が所属する会社は、排水処理施設建設工事を請け負った元請の2次下請として、足場の組立・解体工事を請け負っていた。 災害が発生した日、午前8時30分頃に職長以下4名の作業者が現場に到着し、元請の責任者と打ち合わせを行い、被災者は元請が行う新規入場者教育を受けた。他の作業者は、足場の解体作業を開始し、新規入場者教育を終えた被災者がこの作業に合流した。 午前10時から30分間、休憩をとり、12時に昼食をとったが、被災者は食欲がなく飲み物だけですましていた。 午後1時に、午前中に引き続き作業が再開され、午後3時から30分間、休憩をとったが、職長は被災者から「しんどい」旨告げられたので、「休憩を取りながら、ぼちぼちやるように」と答えた。 午後5時30分に作業を終えたが、被災者の姿が見えないので現場内を探したところ、現場内で座り込んでいる被災者を見つけた。職長らは、しばらく現場内で被災者の様子を見ていたが、様子が変化してきたので、救急車により病院に搬送したが、熱中症による心不全で死亡した。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 気温が35度を超え、ほとんど無風の炎天下での、足場を解体するという重筋作業を行っていたこと。 |
2 | 作業場所が、日陰のない直射日光の強い場所であり、直射日光を遮るような対策が十分に講じられていなかったこと。 |
3 | 作業中の発汗が激しく、水分、塩分の補給が不足していたこと。 |
4 | 食欲がなく、昼食をとらなかったことにより体力が消耗していたこと。 |
5 | 連日の猛暑による睡眠不足と疲労の蓄積など身体的な不調があったものと考えられること。また、直前の健康診断結果が心電図、肝機能、血圧などに有所見があり要精密検査の対象となっていたことも間接的な要因と考えられること。 |
6 | 炎天下における作業を行うとき、事業者および作業者全員が熱中症の危険に関する認識が欠如していたこと。 |
7 | 元請からの熱中症対策についての指導がなかったこと。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 炎天下で作業を行わせるときは、作業場所の近隣に日陰などの涼しい休憩場所を確保し、気温、作業内容、作業者の健康状態などを考慮して、作業休止時間や休憩時間の確保に務めること。 |
2 | 炎天下で作業を行うときは、作業場所にスポーツドリンクを備え付けるなど水分や塩分を容易に補給できるようにすること。 |
3 | 作業場所に温度計や湿度計を設置し、作業中の温湿度の変化に留意すること。なお、環境温度を総合的に評価する指標を示す測定器の備え付けも効果的であること。 |
4 | 休憩場所に体温計を備え付け、休憩時間などに体温を測定させることが望ましいこと。 |
5 | 熱中症の症状、熱中症の予防方法、緊急時の救急措置、熱中症の事例などについて労働衛生教育を実施すること。 |
6 | 元請は、下請に対して熱中症対策のため、温度、湿度を測定してその結果に基づく適切な作業管理、休憩場所の確保、水分、塩分の補給などについての指導を実施すること。 |