鋼板置場に立てかけて置かれた鋼板が倒れ、作業者がはさまれ死亡
業種 | 金属製品製造業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 金属材料 | |||||
災害の種類(事故の型) | 崩壊、倒壊 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.100879
発生状況
この災害は、板金加工工場で部材の取付け作業中に発生したものである。
被災者は、単独で配電盤の箱形ボックス(1.6m×1.8m×0.49m)を鋼板を用いて板金及び溶接加工により製作していた。 災害発生時には、出来上がった箱形ボックスの鋼板の溶接個所の歪みをとるため、補強部材として鋼板を取り付ける作業をしていた。補強部材は、鋼板を工場内のシャー横の鋼材置場から作業者が適宜取り出して作成して使用していた。 この鋼材置場には鋼板(長さ0.5〜1.0m幅40〜80cm程度)70〜80枚、重量350〜400kgが工場の壁に立てかけてあった。 被災者は、必要な2枚の補強部材を作成した後、次の仕事で使用する部材を作成しておこうとして、鋼材置場に行き、鋼板の倒れ止めのチェーンを外して使用する鋼板を選別していたとき、被災者に鋼板が倒れかかり、被災者はシャーの側面との間に胸部をはさまれた。 工場内を巡回中の事業者がこれを見つけて、直ちに救出したが胸部圧迫による損傷により被災者は死亡したものである。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 鋼板が倒れやすい長手方向に立てかけてあり、倒れ止めが十分でなかったこと。
鋼板が立てかけてあった場所は、工場建家の壁で70〜80枚の鋼板が重ねた状態であり、取り出すときに倒れやすい状態であった。 倒れ止めとしては、チェーンと針金程度の簡易なもので鋼材の取り出し時にははずされていた。 |
2 | 鋼材置場が工場の壁とシャーとの間で狭い場所であり、取り出しにくい場所であったこと。
狭い場所であったため、取り出すときに無理な作業姿勢で行っており取り出し時に鋼板の安定が悪く倒れやすかった。また、作業場所の周囲の整理が行われていなかった。 |
3 | 鋼材の取り出し時の作業方法が不安全な作業方法であったこと。
異種の鋼材が重ねて立てかけてあり、下の方に置かれた鋼材を取り出す時には鋼材の安定が悪くなる。 |
4 | 作業者に対する安全教育等が行われていないこと。
各作業に関して安全な作業標準が定められていない。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 鋼材の置き場の安全化を図ること。
鋼材の置き場は、工場の作業者から見て十分な広さと位置として安全なスペースを確保する。あわせて、工場内の整理・整頓を行い、作業場所の床面の整理を行う。 |
2 | 鋼材の置き方の安全化を図ること。
鋼材は、平置きとして鋼材の種類や長さごとに区分けして置くことができる架台を設置する。 また、リフターや電動チェーンブロック、手押し車等を利用して材料の運搬の安全化を図る。 |
3 | 鋼材の転倒防止を図ること。
鋼材を壁に立てかける場合には、長いものや重いもの、多量のものはさけ、量を限定しておくこととする。この場合にも、チェーンなどにより確実に固定し転倒防止をはかる。 |
4 | 作業標準の策定と徹底を行うこと。
作業ごとに作業標準を作成し、現場に徹底するよう安全教育を行う。 |