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印刷機の鋳物フレームをショットブラスト装置に入れる準備作業中にフレームが倒れる

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発生状況
 この災害は、鋳物工場におけるクレーン作業で発生したものである。
  この工場では、印刷機の型となる鋳物フレーム等の製造を行っている。その工程は木型の上に金型を載せて鋳込み口を取り付け砂を詰め込む⇒砂が固まったら木型を外し砂型に塗装剤を塗る⇒上型と下型をあわせて湯を流し込む⇒湯が固まって鋳物となった後、砂型を壊して鋳物に付着している砂をショットブラストで飛ばす⇒手持ち型サンダーおよび専用工具で「バリ」を取る⇒鋳物を加熱して応力を逃がし、変形を防ぐため熱処理の釜に入れる⇒ショットブラストで錆落しを行い、吹きつけ塗装を行う⇒外観検査を行い異常がなければ合格となる。 
 災害発生当日、被災者は、朝の体操を終えて第3工場に行った。この工場では第2工場で熱処理までを終えた鋳物を出荷するまでの工程を行っている。被災者の他に3名の作業者が従事していた。
  被災者は、職場に到着後、ショットブラスト作業を行うため、鋳物をショットブラスト装置に掛ける作業に従事していた。午前11時頃に同じ工場の中で完成した鋳物フレームの寸法計測を行っていた同僚が「ゴツン」という鈍いがかなり大きな音を聞いたのでショットブラスト装置の方に行ったところ、フレームを立てかける架台の上で天井クレーン(つり上げ荷重5.04t)のフックに掛けるチェーンが揺れていた。同僚はフレーム(たて100cm、横174cm、厚さ7cm、質量450kg)が倒れたのではないかと考えて床面から1.5mの高さにある架台の下をのぞいたところフレームが倒れており、被災者が下敷きになっていた。
 その後、同僚は、クレーンで鋳物フレームをつり上げて被災者を救出し、救急車で病院に移送したが被災者は死亡した。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 ショットブラスト装置の故障を修理しないまま作業を行っていたこと
  この災害は、直接の目撃者がいないためその経過等は不明である。直接的な原因は熱処理の終了したフレームをショットブラスト装置に出し入れするため、いったん架台の上に載せたときに固定を怠ったか、チェーンを掛けたままフレームの方向を変えるためクレーンを2方向操作したときにフレームが倒れたかによるものと想定される。その背景にはショットブラスト装置の片側の機能が故障していたのに、修理せずに作業者の判断で片側の終了後いったんフレームをショットブラスト装置から出してフレームの向きを変えて再びショットブラスト装置内に入れ直す作業を行っていたことがある。
2 無資格者に床上操作式天井クレーンを操作させていたこと
  操作していた床上操作式天井クレーンは、つり上げ荷重が5.04tのものであったので、当然、クレーン運転士免許または床上操作式クレーン技能講習の修了証が必要であったが、被災者はいずれの資格も有していなかった。
3 安全衛生管理を実施していなかったこと
  この工場では、クレーン等を使用した作業で危害を受けるおそれのある作業等があったが、安全衛生推進者の選任、クレーン等の作業に関する安全作業手順の作成、その日の作業開始前の打合せなど安全衛生管理を実施していなかった。
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 故障した機械設備は修理してから使用すること
 災害の要因に不備なショットブラスト装置をそのまま使用していたことがある。これを正常な機能が発揮できるように修理する。
 正常な機能を維持することは、生産性向上の上でも安全性向上の上でも望ましい。
2 クレーンを使用する作業について作業手順を定めること
 クレーンを使用する作業では、あらかじめ免許等の必要な資格者の確保、玉掛け・外し作業、地切り、巻き上げ・巻き下げ要領、荷の運搬経路等を含めた安全作業の手順を定め、関係作業者に徹底する。
 なお、非定常作業で、やむを得ず一時的に作業の手順を変更する場合には、合図・監視者を配置する等の措置を行う。
3 クレーンの操作は有資格者に行わせること
 つり上げ荷重が5t以上のクレーンの運転は免許所持者に行わせる。(安衛法第61条・令第20条第6号)
  なお、つり上げ荷重が5t以上のクレーンで、床上操作式の場合には免許または床上操作式クレーン運転技能講習修了者に行わせる。(安衛則第41条・安衛則別表第3)
4 安全衛生推進者の選任等の安全衛生管理を行うこと
 規模の小さい事業場(労働者数が10人以上50人未満)であっても、安全衛生推進者の選任と職務の励行、安全衛生教育の実施、機械設備の検査・点検と整備などの安全管理を確実に実施する。
業種 鋳物業
事業場規模 30〜99人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 玉掛用具
災害の種類(事故の型) 崩壊、倒壊
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:0人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 故障未修理
発生要因(人) 無意識行動
発生要因(管理) 不意の危険に対する措置の不履行
NO.100864
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