トラックの荷台から廃材を荷降ろし作業中、崩れ落ちた廃材の下敷きになり死亡
業種 | 産業廃棄物処理業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 木材、竹材 | |||||
災害の種類(事故の型) | 飛来、落下 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 物の積み方、置き方の欠陥 | |||||
発生要因(人) | コミュニケーションなど | |||||
発生要因(管理) | 合図、確認なしに車を動かす |
No.100851
発生状況
この災害は、廃材焼却場において、トラックから廃材の荷降ろしをしていた運転者が崩れてきた積荷の廃材の下敷きになり死亡したものである。
災害発生当日、被災者はトラックで廃材を焼却場に運び入れ、焼却場で他の作業者とともに荷降ろし作業を開始した。作業はまずトラックの周囲に荷降ろしのための場所を確保するとともに、(1)トラックの荷崩れ防止ロープ、番線等を外す、(2)ドラグ・ショベルで荷を押して廃材を降ろす、(3)ドラグ・ショベルでトラックの荷台に残った木屑を降ろす、というものであった。被災者は近くにいた他の作業者に廃材を降ろすためのドラグ・ショベルの運転を依頼した。依頼された作業者は、作業を開始するにあたり、被災者に声をかけたが応答がなかったためドラグ・ショベルでトラックの荷台の廃材を荷台の反対側に押して降ろした。その後、しばらくたっても被災者の所在がわからなかったが、関係者による捜索の結果、降ろした廃材の下で被災者が下敷きになっているのが発見された。被災者は直ちに現地の緊急医療機関へ搬送されたが外傷性窒息による死亡が確認された。なお、災害発生当時、災害現場には複数のドラグ・ショベル運転有資格者がいたがいずれも関連する他の作業に従事しており、災害発生時には資格を有していない作業者が運転にあたっていた。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 廃材を降ろす個所への立ち入り制限の実施等、作業前の安全確認が徹底されていなかったこと。
被災者は他の作業者にドラグ・ショベルの運転を依頼した後、自らが荷台の廃材固定具の取り外しを行っていたが、廃材を降ろす方向の荷の固定具を外したあと落下してきた廃材の下敷きになったものと考えられる。この作業場においては作業中に作業の安全を確認する者がいなかった。また、廃材置き場の区画の確保もなされていなかった。 |
2 | ドラグ・ショベルの運転を車両系建設機械運転技能講習修了者に行わせていなかったこと。
災害の発生した事業場には車両系建設機械運転技能講習修了者が複数おり、当日も事故の発生した作業を手伝っていたがいずれもドラグ・ショベル運転以外の作業を担当しており、結果として資格を有さない作業者が運転をしなければならないような状況にあった。 |
3 | 複数の作業者で行う作業にもかかわらず作業にあたる作業者間で作業開始前の打ち合わせを行わなかったこと。
災害が発生した作業においては被災者を含め作業分担の確認等作業者間の連携がとられていなかった。この結果、誰がどこで何をしているかということについて全体の状況を掌握している者がおらず、これが災害の発生要因となった他、被災者の発見の遅れにもつながったものと考えられる。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 材料の積み降ろし等、重機を使用する作業を行う場合は、作業個所への立ち入り制限の実施等、作業前の安全確認を徹底すること。
これらの作業は、重量物による飛来、激突が予想されるため、人手による作業と重機を用いた作業は明確に区分し、安全確認並びに対象区域への立ち入り制限等の措置を講じたうえで重機を用いた作業を行うことが必要である。また、作業にあたり監視人を配置する事も有効な手段である。 |
2 | ドラグ・ショベルの運転は車両系建設機械運転技能講習修了者に行わせること。
車両系建設機械を用いた作業を行う際には、使用する機材の特性、安全対策等について教育・訓練を受けた有資格者を適正に配置すること。なお、同時に複数の車両系建設機械を使用することが予想される場合にはそれに対応できる人数の有資格者を確保すること。 |
3 | 複数の作業者で行う作業については作業にあたる作業者間で作業開始前の打ち合わせを行うこと。
作業前の打ち合わせを行い、安全面での共通認識を持つことは災害防止上不可欠である。また作業の進行状況を統括的に監督できる監視人を現場に配置することも災害防止上有効な手段である。 |