ごみ焼却処理設備の排水ポンプ室内で配管の切断作業中、アセチレン溶断の火炎によりメタンガスが着火して爆発
業種 | 機械器具設置工事業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 可燃性のガス | |||||
災害の種類(事故の型) | 爆発 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 機械器具設置工事 | ||||
災害の種類 | ガス等の爆発 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 有害物のガス、蒸気、粉じん | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 危険物が入っているものの |
No.100835
発生状況
この災害は、ごみ焼却処理設備の改装工事において、排水ポンプ室内に設置されていたポンプ、配管などの撤去作業中、汚水ピットから流出したメタンガスが、アセチレン溶断の火炎により着火・爆発したものである。
この工事はごみ焼却処理設備の改装のため、各種設備の撤去解体するもので、元請X社と5次にわたる下請事業場によって作業が行われていた。 災害発生当日、朝礼後のミーティングで、4次下請Y社のAと5次下請Z社のBの2人の作業員は汚水ピット(2×4×3m)の上にある排水ポンプ室(2×5×3m)内に設置されている排水ポンプおよび配管の撤去作業を命じられた。A、Bの2人は、アセチレン容器および酸素容器をポンプ室の外に置き、アセチレン吹管をもって、ポンプ室に入り配管の切断を行ったが、配管内部から汚水が流れ出たので、ポンプ室床面に設置されていた地下の汚水ピットと連絡しているマンホール蓋を開けて地下の汚水ピットに流し込むことにした。マンホールの蓋を少し持ち上げて、溶断した配管を差込み、蓋の片側が65mm持ち上がった状態にして、Aが汚水を流し込む作業を行った。 10分程して、Bはマンホール近くの配管の架台アングルを切断しようとしてアセチレン溶接装置の吹管を近づけたとき、室内で爆発が起こって、ポンプ室内部にいた2人の作業員が火傷を負った。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 汚水ピットにメタンガスが滞留しており、マンホール蓋を開けたとき、メタンガスが排水ポンプ室内に流出してきたため、マンホール近辺に爆発混合気が形成されたこと。 |
2 | ポンプ室内の換気が十分に行われておらず、また危険有害ガスの濃度を測定しない状況で、アセチレン溶断火炎を使用したこと。 |
3 | ごみ処理施設など廃棄物処理設備においては、メタンガスが発生することが多く、その爆発危険性に関する安全意識に欠けていたこと。 |
4 | 作業を開始する前に作業手順が定めておらず、また危険が存在する箇所および災害の種類についての事前予測が行われていなかったこと。 |
5 | 元請と数次にわたる下請の混在作業で、統括安全管理が徹底していなかったこと。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | ごみ焼却施設など廃棄物処理設備の汚水ピット、汚水槽などにおいては、高濃度のメタンガスが発生するため、その付近で溶接・溶断作業を行うときは、十分な換気を行い、かつ、定期的に濃度測定を行い、メタンガスの濃度を爆発下限界の四分の一以下とすること。 |
2 | 高濃度のメタン、硫化水素など危険有害物質が流入する箇所が分かっている場合は、流入部の閉鎖など確実な流入防止の措置を講ずること。 |
3 | メタン、硫化水素など有害ガスが発生するおそれのある場所で作業を行う場合は、事前に作業責任者を定め、作業の方法、手順を定めておくこと。 |
4 | 下請事業場を含む元請事業場の統括安全管理体制を確立し、安全管理を徹底すること。
リスクアセスメント、安全作業基準作成、安全衛生教育、現場の巡視などを実施し、安全思想の高揚を図る。 |