体育館の建設中に7段枠組み足場上から墜落

業種 | 鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事業 | |||||
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事業場規模 | 30~99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 足場 | |||||
災害の種類(事故の型) | 墜落、転落 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事 | ||||
災害の種類 | 足場から墜落 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.100806
発生状況
この災害は、高校の体育館の建設工事中に発生したものである。
この体育館は、鉄筋コンクリート造2階建のもので、屋根部分は円形状になっていて、工程としては屋根工事を行うために2階アリーナ全体に足場(屋根受け足場) が組み上げられていた。 被災者の所属する会社は、JV(共同企業体)の1次下請として足場の組立等の仕事を行っていた。 災害発生当日、職長以下6名が現場に到着し、午前8時からJVが行う現場全体の朝礼に参加し、その後、職長を中心にKY(危険予知)を実施し、午前8時20分頃から作業を開始した。 作業は、体育館(長さ約42m、幅約32m)内部の四囲に組み立てられた周囲足場の内側に、13列に組み立てられた足場最上部(枠組み足場7段:地上からの高さ12.2m)の隙間(2m)に養生用足場板を敷き詰め、その上に防網を取り付けて足場板に緊結するもので、被災者は職長ら3名で作業用親綱の設置、養生用足場板の運搬および緊結作業を行い、他の2名は主に防網の取り付け作業を分担した。 作業は順調に進んでいたが、午前10時頃からの休憩時間中(約15分)に職長と被災者が話をして、足場板の運搬を容易にするため、次の工程(2つの枠組み足場間の作業を1単位とした)で親綱を移設するときには、その設置位置を南側へ1スパン(1.85m)ずらすことにした。そのため、休憩後の作業においては北側と南側のスパンとの間には(2スパン分3.7m)親綱が張られていない状態となった。 午前11時45分頃、被災者らは、西側から8列目までの枠組み足場間の足場板の布設を終え、職長は1段下の足場上で作業を行っている2人の防網の取り付け作業状況を見るため右から6列目の枠組み足場のところで下をのぞいたときに、被災者が枠組み足場7段目の8列と9列との間のところから約12m下のコンクリート床に転落した。 なお、このときに、8列と9列との間に掛け渡した足場板1枚も落下していた。 その後、被災者は、救急車で病院に移送されたが、頭蓋骨折等のため間もなく死亡した。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 墜落危険のある場所で墜落防止措置を行っていなかったこと
被災者が墜落直前に行っていた作業あるいは動作を目撃した者はいないが、被災者らが行っていた作業は7段(地上からの高さ12.2m)に組み上げた13列の枠組み足場の間に、足場板を並べて建設資材の落下防止と墜落防止措置を行うものであり、もともと枠組み足場の狭い通路上を、一定の場所に既に積まれていた養生用足場板を運搬し、枠組み足場間に掛け渡す危険な作業であった。 このような場所での作業であるのに、被災者が墜落したときには安全帯のロープを首に廻した状態であったことから、他の墜落防止措置を講じていないにもかかわらず、安全帯を使用していなかったものと推定される。 |
2 | 作業計画・手順が不明確であったこと
当日の朝礼で、JVの所長から確実に安全帯を使用するようにとの注意があり、また、その後に行ったKYにおいては親綱を張って安全帯を使用することが話し合われたが、安全帯の使用以外の墜落防止措置、例えば防網の設置等を含む具体的な作業方法・手順の検討は行われなかった。 特に、午前の休憩の折に、職長と被災者が作業性を考えて親綱の移設を決めているが、それに伴う危険性の増大等についての検討とそれに対する措置の検討は行われなかった。 |
3 | 作業主任者がその職務を履行しなかったこと
職長は、足場の組立等作業主任者でもあったが、自らも足場板の布設等の作業に従事していたため、配下の作業者の安全帯の使用状況の監視等の職務を履行していなかった。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |||||||||
1 | 作業計画を明確に定め徹底すること
高所に作業床等を設置する作業においては、その作業過程において墜落危険あるいは作業床材料の落下危険が大きいので、作業方法・作業手順を含む安全な作業計画を作成し、関係作業者に徹底する。また、作業途中で、親綱の位置の変更等を行う場合には、それに伴う危険とその対策について検討する。 なお、墜落防止措置については、親綱と安全帯の使用に依存することなく、防網の設置等を含む計画を検討する。 |
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2 | 高所作業における墜落防止措置を確実に実施すること
高さが2m以上の作業床の端、開口部等で墜落危険がある場合には、囲い、手すり、覆い等を設置する。(安衛則第519条関連) なお、囲い等の設置が著しく困難なときには、防網を張り、労働者に安全帯を使用させる。 |
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3 | 作業主任者の職務を励行すること
高さが5m以上の構造の足場の組立等作業主任者は、次の職務を確実に励行する。(安衛則第566条関連)
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4 | 安全教育等の安全管理を実施すること
高所作業に従事する労働者については、あらかじめ墜落危険及びその防止対策について十分な教育を実施するとともに、慣れにより安全対策を省略することのないよう随時に追加の教育を実施する。 また、経営トップ等の管理者は、定期あるいは随時に作業場所を巡視し、安全措置の実施状況、作業計画の順守状況の確認と必要な指示を行う。 なお、JV(共同企業体)など特定元方事業者(統括安全衛生責任者等)は、墜落危険のある作業については口頭指示だけではなく、作業計画、具体的な墜落防止措置等について関係下請け事業者と検討するとともに、その実施状況を確認する。(安衛法第30条関連) |