清掃センター地下ピット内において、床面に落ちた粗大ゴミなどをコンベアに載せる作業中の作業者が酸素欠乏症にかかる
業種 | その他の廃棄物処理業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 設計不良 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 保護具を使用していない |
No.100805
発生状況
この災害は、清掃センター地下ピット内において床面に落ちた粗大ゴミなどをコンベアに載せる作業中に発生したものである。
災害が発生した日、被災者は、午前8時に出勤し、始業開始の8時30分頃いつものように破砕機の運転室に赴き破砕機およびコンベアの運転停止を確認した後、床面に落ちた粗大ゴミなどをコンベアに載せる作業を始めるためピット内に向かった。同時に、4名の作業員が破砕機の点検・整備の作業を始めていた。 破砕機室内は悪臭が強く、破砕機の点検・整備の作業は頻繁に休憩を取りながら行っていた。9時過ぎに、破砕機室内で作業していた4名の作業者は休憩をとるため破砕機室内を出るとき、地下ピット内で作業していた被災者に休憩をとるように呼びかけたが返事がなかった。そこで、作業者の1人が地下ピット内に入ろうとして階段を下りようとしたが、いつもより悪臭が強く、タオルを口元に押さえながら地下ピット内の北側に入って行くと、倒れている被災者を発見した。地下ピットに入った作業者は、倒れている被災者に声を掛けたが、返答がなかったので、すぐ事務所に連絡し救急車の手配を依頼し、被災者を救出して病院に搬送したところ、低酸素血症と診断され治療を受けた。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 地下ピットに隣接する可燃ゴミピット内で、集じん機のメンテナンス中のため焼却炉の稼働が1基であったため、ピット内底部に生ゴミを含む可燃ゴミが長い時間ストックされたため、腐敗の進行に伴って酸素が消費され、酸素欠乏空気が可燃ゴミピット内に滞留していたこと。 |
2 | 地下ピット内に設けられていた可燃ゴミピット点検窓が半開きの状態であったため、この点検窓から可燃ゴミピット内に滞留した酸素欠乏空気が地下ピット内に流れ込み、地下ピット内に酸素欠乏空気が滞留したこと。 |
3 | 地下ピット内での作業行う際に、空気中の酸素濃度を測定することなく地下ピット内に入り、作業を始めたこと。 |
4 | 酸素欠乏危険場所での作業を行う際に必要な空気呼吸器など必要な保護具が備え付けられていなかったこと。 |
5 | 隔離された地下ピット内での作業が単独作業であったため、異常事態の発生に気付かれず救出が遅れてしまったこと。 |
6 | 酸素欠乏の危険を防止するための作業手順、換気の方法、保護具の使用、異常時の対応などに関するマニュアルが作成されていなかったこと。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 地下ピット内で作業中は、18%以上の酸素濃度が確保できるように換気装置を設置すること。 |
2 | 地下ピットと隣接する可燃ゴミピットとは、点検窓を密封するなど空気の流通がないように隔離すること。 |
3 | 地下ピット内に酸素濃度、硫化水素、一酸化炭素濃度などの有害ガス濃度を検知し、警報を発することのできる表示盤を地下ピット入り口に設置すること。 |
4 | 酸素濃度その他有害ガス濃度を測定するために必要な測定器具を備え付け、作業開始の都度作業場所の酸素濃度を測定すること。 |
5 | 空気呼吸器などの保護具を備え付けること。また、異常時に避難または救出するために必要な用具を備え付けること。 |
6 | 地下ピット内で作業を行うときは、常時作業の状況を監視する監視人を配置すること。 |
7 | 地下ピット内での作業については、酸素欠乏症等の危険を防止するための作業マニュアルを作成すること。 |
8 | 作業責任者を選任し、その者に、作業マニュアルの周知、酸素の濃度および有害ガスの濃度の測定、保護具の使用状況の確認などを行わせること。 |
9 | 酸素欠乏等に関する労働衛生教育を実施すること。 |