木造平屋住宅の建築工事において、尾垂木(おだるき)の取付け作業中に屋根の梁もしくは桁から墜落
業種 | 木造家屋建築工事業 | |||||
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事業場規模 | 1〜4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 屋根、はり、もや、けた、合掌 | |||||
災害の種類(事故の型) | 墜落、転落 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 木造家屋建築工事 | ||||
災害の種類 | 梁、母屋から墜落 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 防護・安全装置がない | |||||
発生要因(人) | その他の心理的原因 | |||||
発生要因(管理) | 保護具を使用していない |
No.100796
発生状況
この災害は、木造平屋の屋根の下地の尾垂木(おだるき)(軒先に向かって反りがある垂木(たるき))の取り付け作業中に発生したものである。
災害が発生した当日、作業は前日に引き続き屋根の下地組作業を作業者4人で分担して行うこととした。 作業者2名は建物の北東隅で屋根の尾垂木(おだるき)の取り付け作業、他の1名は玄関部分の屋根で垂木(たるき)の取り付け作業を行い、被災者は単独で、建物の南東隅の和室上部の屋根で上側の尾垂木(おだるき)の取り付けを行っていた。 午前10時頃に40分程度の休憩をとった後、作業を再開して間もなく被災者は高さ5.5mの梁または桁から和室の土間のコンクリートの上に墜落したものである。 被災者が墜落するところを目撃した者はいないが、墜落した場所に加工途中でノミがささった尾垂木(おだるき)が落ちていたことから、被災者は取り付け予定の尾垂木(おだるき)(長さ3.12m 12×16cm角)を持って梁または桁の上にあがり、ノミを用いて取り付けるため加工していたものとみられる。 作業にあたっては、足場や作業床がないため被災者は、梁や桁を作業の足場として使用していたもので身体のバランスを崩して墜落したものと見られる。 被災者は、保護帽を着用していたが墜落時に脱げたものとみられ、被災者の近くの土間で発見された。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 墜落防止のための措置が行われていなかったこと
尾垂木(おだるき)の取り付け工事にあたって安全な足場・作業床を設置しないまま、作業を進めていた。また、安全帯をかけるための親綱もなく、安全帯も工事現場には用意されていなかった。 |
2 | 安全に工事を進めるための工事計画を作成されていなかったこと
足場の設置計画もなく、工事の安全な工程管理が行われていなかった。また、当日の作業開始にあたって、具体的な危険個所の指摘や指示もないまま作業が進められていた。 |
3 | 安全教育を実施していなかったこと
事業者は、「木造建築物の組立等作業主任者」の資格を有していることから墜落災害や高所作業の危険性についての認識はあったものとみられるが、作業者に対する安全教育としては打ち合わせの時に「気をつけろ」程度の指示に止まり、具体的で十分な安全教育を行っていなかった。 |
4 | 当日は、事業者は自ら作業を指揮することなく作業の危険性の認識が不足していたこと。
始業時に、TBMやKYなどによる安全作業の打ち合わせや危険の確認などが実施されず、また、作業者も高所作業の危険性の認識が薄かった。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 墜落防止のための足場・作業床、手すりの設置を行うこと
木造家屋の建築工事では、建て方工事に先行してブラケット足場や二側足場などの設置により、作業床の設置と手すりなどを確保し、墜落防止対策を進めることが必要である。 また、足場の設置が困難な場所あるいは建家の中心部等については、安全帯の使用もしくは墜落防止用の防網を設置をすることが必要である。 |
2 | 安全な工事計画に基づく工事の安全施工を図ること
木造住宅では、足場等の仮設物にかかる計画が定められていないものが多い。工事の進行に伴い、計画的に安全設備の設置・管理を進めることが必要である。 |
3 | 作業にあたっては、直接作業主任者が作業指揮にあたること
安全な作業行動の確保や設備の状態を把握し、直接、作業指揮・指示することが安全上不可欠である。 |
4 | 安全作業標準の策定と安全教育の実施を行うこと
高所作業の安全化を図るため、作業標準を定め、足場の設置や安全帯や保護帽など安全装備の使用の徹底を図る。 作業開始前の打ち合わせと確認により、日々の安全な作業の徹底を図ることが必要である。 |