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労働災害事例

セメント予熱機ダクト内の足場で耐火材の解体作業中、足場が倒壊して作業者が墜落

セメント予熱機ダクト内の足場で耐火材の解体作業中、足場が倒壊して作業者が墜落
業種 機械器具設置工事業
事業場規模 30~99人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 足場
災害の種類(事故の型) 墜落、転落
建設業のみ 工事の種類 機械器具設置工事
災害の種類 足場から墜落
被害者数
死亡者数:3人 休業者数:4人
不休者数:1人 行方不明者数:-
発生要因(物) 組立、工作の欠陥
発生要因(人) 危険感覚
発生要因(管理) 荷等の積み過ぎ

No.100778

発生状況

 この災害は、セメント予熱機ダクト内の足場で、耐火材の解体作業中に発生したものである。
 この工事は、セメント工場のキルン本体、サイクロン連結ダクト、サイクロンシュート等設備の缶体の交換、缶体内部の耐火材の解体(剥がし)、取付け(補修)など定期補修工事を行うものであった。
 災害が発生したのは、セメントの原料となる石灰石等の予熱機の第2サイクロンと第3サイクロンをつないでいるダクト内であり、ダクト内側にある耐火材を解体した後、ダクト缶体を交換し、再びダクト内側に耐火材を取り付ける作業であった。
 災害発生当日、被災者8人は午前8時の朝礼・打合せにつづき、午前9時30分までダクト内に設けられた単管足場の最上部2層(12、13層)にわたって耐火材解体作業用の足場となる作業床を追加設置した。
 午前10時前から12時頃まで12層目の足場にのぼり、4人一組、15分交代で耐火材の解体作業を行った。その方法は、1人がエアーピックで耐火材を解体し、他の3人が解体ガラを足場の隙間から下に落とすものであった。
 昼食後、午後1時すぎから作業を再開し、13層目の足場に移動して解体作業を行っていたところ、午後2時すぎ、突然足場が崩れ、8人全員が足場とともに下の第2サイクロン底に墜落した。

原因

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1  足場が、労働者の体重、解体した耐火材のガラなどの総荷重に耐え切れず、建地が座屈し、足場全体が倒壊したものと推定されること。
 ダクト内最上部の12層目と13層目の足場に8人の作業員が乗り、耐火材の解体作業を行ったときに、その解体した耐火材のガラを足場の隙間から下の座張り(作業構台)上に落としていたところから、それらが足場上に堆積し、その偏荷重をきっかけとして足場全体を座屈させる大きな要因となったものと推定される。
2  足場の積載荷重が定められていなかったことから、積載荷重の制限について被災者8人ともその認識がなく、荷重限度を超える重量の耐火材のガラを足場上に堆積させたこと。
3  耐火材の解体作業を開始する前に、足場にかかる荷重に関する構造計算をせず、組立図もなしに足場を組み立てたこと。
4  元請の統括安全衛生管理体制が整備されていなくて、現場の安全管理が徹底していなかったこと。

対策

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1  足場については、あらかじめ、それらの仮設構造物の形状、特性等に応じて、最大積載荷重を定め、それぞれの構造物の構造計算(強度計算)を行った上で、組立図を作成し、それに基づいて組立てること。  
2  解体した耐火材のガラを落下させて足場上に堆積させることなく、直接ダクト外に搬出する方法に変更すること。
3  足場の組立てに当たっては、足場の組立て作業責任者の有資格者を選任し、その者の作業指揮の下に組立て作業を行うこと。
4  足場の組立て等に当たっては、作業手順を定め、関係労働者に周知し、その手順どおりに作業を行わせること。
5  元請の統括安全衛生管理体制を整備し、現場の安全管理を徹底すること。