ボックスカルバート内でカルバートを固定する作業中、一酸化炭素中毒
業種 | その他の土木工事業 | |||||
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事業場規模 | 1〜4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | その他の土木工事 | ||||
災害の種類 | 中毒 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.100771
発生状況
この災害は、ボックスカルバート内でカルバートの固定作業中に発生したものである。 カルバート(1個の長さが2m、高さが2.1m、幅が2.1mのボックス型)は65mの距離に開削された場所に33個据え付けられ、始点は据付時に塞がれており、カルバート内への出入りは片側から行っていた。 災害が発生した日、元請の現場責任者ほか2名、一次下請の作業者1名、二次下請の作業者5名がカルバートを固定する作業に従事していた。 カルバートを固定する作業は、カルバート内に入り、カルバート同士を固定するための緊張を行った後、カルバート間の隙間にセメントミルクをグラウトするものであった。 この作業を行うに際して、カルバート内の照明のために投光器2台を設置し、電源としてガソリンエンジン発電機をカルバート南側出入り口から18mほどカルバート内に入った位置に据え付けて使用していた。 午後2時頃までにカルバートの緊張作業を終え、休憩を挟んでグラウト作業を開始してから1時間ほど経過したとき、作業者からめまいがする旨の訴えがあったので全員カルバートの外へ退避し、病院に行き診察を受けたところ一酸化炭素中毒と診断された。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 自然換気が不十分なカルバート内で使用していたガソリンエンジン発電機のエンジンから排出された排気ガスに含まれている一酸化炭素がカルバート内に滞留していたこと。 |
2 | 自然換気が不十分なボックスカルバート内で使用していたガソリンエンジン発電機のエンジンから排出する排気ガスを外部に排出するための換気設備が設けられていなかったこと。 |
3 | ガソリンエンジン発電機について、エンジンから排出される一酸化炭素の有害性を確認し、その設置場所などについての事前の検討が不十分であったこと。 |
4 | ガソリンエンジンから排出する排気ガスに含まれる一酸化炭素の有害性に関する認識が欠如していたこと。 |
5 | 元請による下請業者に対する作業手順など作業方法および手順の的確性などについての確認が不十分であったこと。 |
6 | 元請の下請に対する安全衛生に関する指導援助体制が整備されていなかったこと。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | カルバート内の照明用の電源は、引き込み線を敷設して商用電力を利用することが望ましいこと。 |
2 | 自然換気が不十分なところにおいては、ガソリンエンジン発電機など内燃機関を有する機械を極力、使用しないこと。なお、自然換気が不十分なところにおいてガソリンエンジン発電機など内燃機関を有する機械を止むを得ず使用するときは、一酸化炭素が100ppm(1気圧25℃)以上の濃度に蓄積するおそれのないように換気する設備を設けるとともに、一酸化炭素のガス検知警報装置を設置すること。 |
3 | 一酸化炭素を排出する内燃機関を使用する作業を行うときは、一酸化炭素中毒予防に関する知識を有する者の中から作業責任者を選任し、その者に、作業手順書の作成など一酸化炭素中毒防止のための措置を行わせること。 |
4 | 元請は、関係請負人が作成した作業手順書を提出させるとともに、作業の方法等が不適切であると判断した場合には、これを改善するように指導すること。 |