大規模小売店舗の倉庫でコンクリート床の切断中に一酸化炭素中毒
業種 | 建築設備工事業 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | その他の建設工事 | ||||
災害の種類 | 中毒 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.100761
発生状況
この災害は、大規模小売店舗の倉庫で配管工事のため、床面のコンクリートを切断中に一酸化炭素中毒になったものである。 被災者の所属する会社は、主に道路舗装工事を行っているが、この工事では2次下請として作業を請け負い、被災者ともう1人の作業者が配置された。 作業の内容は、店舗倉庫の一角に間仕切りされた部屋に、別の業者が敷設する配管用の溝をエンジン式コンクリートカッターで床面に設けるものであった。 災害発生当日、2人は午後7時頃に現場に到着し、元方事業者の現場代理人、1次下請の職長と4人で作業の打ち合わせを行った。そのときにチョークで引かれた切断ラインが見えにくいので墨付けを行うこと、換気のために送風機を使用することが決定された。 そこで、2人は墨付けとカッターの持込を行い、職長は自社で準備していた送風機を室内東側の窓の下に設置し、排気側から長さ1,800mm、直径350mmのビニール製の風管を取り付けて、その端を窓の外に出した。 切断作業は、午後8時20分頃から開始された。まず、被災者がカッターの操作を、同僚がカッターに接続している発じん防止用の給水ホースの取り回しを行った。 しかし、エンジンからの廃熱及び排気ガスで息苦しくなるので、5〜10分程度の切断作業を行って約3分程度の休憩を取りながら作業を続け、被災者が約18分、同僚が約5分の機械操作を行ってから次の切断個所の位置合わせを行おうとしたが、壁に近くカッターが当たりそうになるのでその調整に手間取っていた。 その後、被災者は、排気管のところに位置して、同僚は被災者の指示で1分程度カッターの操作を行った。 しかし、その途中で被災者は気分が悪くなり、2人はいったん室外に出たが、被災者はカッターのエンジンを切り忘れていたことに気づき、再び室内に戻ってエンジンを止めて室外に出ようとしたときに倒れ、意識を失った。 ただちに、救急車が呼ばれ、病院に向かう途中で被災者の意識は戻ったが、医師に一酸化炭素中毒と診断された。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 換気が不十分なところで内燃機関を使用したこと 被災者らがコンクリート床の切断作業を行っていたところは、間口5,800mm、奥行き3,200mm、高さ2,000mm、気積が約40m3 で、東側には窓(570mm×500mm)が2カ所あってその1つは開けられていたが、外気に通ずる荷の運搬用出口までは9.5mもあり、ほぼ密閉状態に近い部屋であった。送風機が設置されていたが換気は十分ではなかった。 そのため、部屋の中には、コンクリートカッターからかなりの量の一酸化炭素が排出され、それが充満していたと考えられる。(安衛則第578条関係) |
2 | 作業姿勢が適切でなかったこと 被災者が一酸化炭素ガスを多量に吸入したのは、壁際のカットを行うため排気ダクト(ビニール製蛇腹式)の一部をまくって、同僚にカットの位置を指示したときと考えられるが、このとき顔面が排気管に正面する形になっていた。 |
3 | 一酸化炭素中毒の有害性を認識していなかったこと 被災者らの本来の業務は、道路舗装であるため一酸化炭素中毒等を意識することがなく、また、当日のコンクリート床のカットは短時間であることから部屋に一酸化炭素が充満すること等を認識していなかった。 |
4 | 安全衛生管理が不十分であったこと 被災者は、作業開始前に常務から「あまり具合が悪くならないよう注意してやれ」と言われているが、常務は送風機の位置、能力の確認、連続作業時間等について具体的な指示を行っていなかった。また、防毒マスク等の呼吸用保護具の準備も行っていなかった。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 一酸化炭素の有害性を十分に教育すること 一酸化炭素は、爆発範囲が12.5〜74%の危険物であるとともに、中毒指数(ppm×時間)が600で異常感、900で頭痛、吐き気、1,200で生命危険となる有害物である。エンジンカッター等の内燃機関付きの機械を使用する労働者に対しては、あらかじめその危険有害性を教育しておくことが必要である。(安衛則第35条関係) |
2 | 密閉した部屋等ではエンジン駆動の機械を使用させないこと 密閉した部屋等で動力機械を使用する場合には、エンジン駆動のものを使用せず、電動機械器具を使用させる。(安衛則第576条関係) |
3 | 適切な呼吸用保護具を使用させること 短時間作業等でやむを得ずエンジン駆動の動力機械を使用させる場合には、十分な能力を有する換気装置を設置するとともに、防毒マスク等の呼吸用保護具を着用させる。(安衛則第593条関係) なお、人体に有害なガス、蒸気が発生しない場合でも作業に伴って粉じんが発散する場合には防じんマスクを着用させる。 |
4 | 安全衛生管理を実施すること 短時間作業等の場合であっても、作業を開始する前に、作業場所の諸条件を確認し、換気に必要な設備の設置要領と能力、呼吸用保護具着用の必要性、連続作業時間と休憩時間、場所等について十分に検討し、適切な作業計画を作成する。 また、作業責任者を指名し、作業状況の確認、労働者の健康状態の確認等を行わせる。 |