地下鉄の蓄電池室の改修工事中で一酸化炭素中毒
業種 | 電気通信工事業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の建設機械等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 機械器具設置工事 | ||||
災害の種類 | 中毒 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.100758
発生状況
この災害は、地下鉄構内にある蓄電池室の改修工事中に発生したものである。 災害発生当日、2次下請に属する被災者ら3名は、午前9時から別の駅の工事に従事し、午前11時頃に作業が終了したので車で災害が発生した駅に移動した。 午後1時10分から元方事業者の現場代理人と1次下請の労働者2名の6名で作業の打合せが行われた。その後、1次下請の労働者2名は材料調達のため工事現場を離れ、作業は現場代理人の指揮のもと被災者ら3名で午後1時20分頃から開始した。 作業は、まず無停電電源装置からの配線を収納するピットを築造するためにコンクリート床への墨付けが行われ、続いてブルーシートで既設の機械設備の防護、集じん機の据付、電源の準備等が行われた。 午後2時10分頃から内燃機関で駆動するコンクリートカッターでの切断作業を開始した。被災者Aはカッターの運転を、被災者Bはコンクリート床面に流れ出た切削剤(水)の拭き取りを行って、午後2時40分頃にはほぼ終了したが、その少し前から被災者Bが気分が悪くなったので、被災者Aにそのことを告げたが、もう少しということで作業は続行された。 切断作業が終了した頃に、1次下請の労働者が現場に戻り、蓄電池室内の様子を見て直ぐに室外に出るように指示したが、最後に室外に出た被災者Aも気分が悪いといってドアのところに座り込んだ。 その後、10分ほど向かいにある機械室で水で頭を冷やしながら2人を休ませたうえ、病院で診察を受けたところ、一酸化炭素中毒と診断され2日の休業となった。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | 狭い室内で内燃機関駆動のコンクリートカッターを使用したこと 災害が発生した蓄電池室は、300cm×410cmの広さであったが、既設の機械設備にブルーシートを掛けていたので実質は160cm×410cm程度の広さで、隣の倉庫とはドアがあり、また、換気口(33cm×71cm)が2箇所あったがドアは閉じられた状態であった。 このような狭い室内で内燃機関駆動のコンクリートカッターを使用したのに強制換気を行わなかったことが、一酸化炭素中毒になった原因である。 |
2 | 作業姿勢が適切でなかったこと 被災者Bは、コンクリート切削時に通常の工事では流したままの水を漏電等を避けるため直ぐに拭き取っていたが、顔面の位置が内燃機関の排気の位置に近かった。 また、被災者Aもコンクリート床に顔を近づけながらコンクリートカッターの運転を続けていた。 |
3 | 適切な保護具を使用していなかったこと 被災者らは、作業中は綿マスクを使用していたが、これは一酸化炭素中毒を防止するためには適切な保護具ではなかった。また、防毒マスク等も準備されていなかった。 |
4 | 安全衛生教育が実施されていなかったこと 被災者らは、内燃機械を使用する作業における中毒およびその防止についての教育を受けてはいなかった。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 作業方法について十分な打合せを行うこと 狭い室内で作業を行う場合には、作業計画を作成する段階で使用する機械の種類、必要な適切な保護具、強制換気のための装置、作業手順、必要であれば作業環境の測定等について検討し、安全で衛生的な作業が実施できる作業方法を決定する。 |
2 | 安全衛生教育を実施すること 狭い室内において、内燃機関で駆動する機械設備を使用する場合には、排気される一酸化炭素による危険有害性とその防止対策等についてあらかじめ労働者に安全衛生教育を実施する。 とくに、一酸化炭素(可燃性ガス、特定化学物質第3類)は、爆発範囲が12.5%〜74%と広く、空気との混合があって点火源があれば爆発の危険があると同時に、血液中のヘモグロビンと結合して体内の酸素供給能力を妨げる作用があって1200ppmを超えると死に至る有害なものであることを十分に徹底する。 |
3 | 作業指揮などの安全衛生管理を実施すること 危険有害なガス蒸気の発生のおそれがある場所での作業については、あらかじめ労働者に必要な安全衛生教育を実施するとともに、一定の知識経験を有する者を作業の指揮者として指名し、換気の実施、適切な保護具(防毒マスク等)の使用等について指揮監督をさせる。 また、2次の下請事業者等は、労働者の安全衛生を確保することは自らの責務であることを十分に認識し、安全衛生に係る諸対策を実施するとともに、作業場所を巡視し必要な指示を行う。 |