無水フタル酸製造設備定修工事において、中毒症状を発症
業種 | 機械器具設置工事業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 機械器具設置工事 | ||||
災害の種類 | 中毒 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.100753
発生状況
この災害は、無水フタル酸の製造設備の定修工事において、フレーカーの清掃作業中に、無水フタル酸による中毒症状を起こしたものである。 定修工事を行うため、災害が発生した3日前に無水フタル酸の製造工程にある無水フタル酸をフレーク状にするフレーカーの運転を停止した。 このフレーカーは2基設置されており、その大きさは直径が2m、長さが3mの円筒状タンクが横置きに据え付けられている。 災害が発生した日、元請の作業員2名と下請の作業員4名により、2基のフレーカー内の清掃作業を分担して開始した。 午前中に、フレーカー内部にこびり付いた無水フタル酸をはつる作業を始めた。この作業に就いた作業員は、つなぎ状の作業衣、ゴーグル、頭巾、ヘルメット、安全靴、軍手、簡易防じんマスクを着用していた。 昼休みを終えて、午前中に引き続きフレーカー内部で、はつり作業を再開した。午後の作業を開始してからまもなく、作業員の一人が体調の不調を訴え、嘔吐し自力で立てない状態になったので、同僚が工場内の健康管理室に運び込んだ。健康管理室から、直ちに、病院へ搬送し診察を受けたところ、急性虚脱症と診断された。 |
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。 | |
1 | フレーカーにこびり付いた無水フタル酸をはつる際に発生した粉じんにばく露したこと。 |
2 | 粉じん発生に対して、軍手、簡易防じんマスクなどを着用するなど保護具の選定および着用の方法が適切でなかった。このため、はつり作業で発生した粉じんを吸入または、皮膚接触したものと考えられること。 |
3 | 換気設備を設けるなど、はつり作業で発生する粉じんを除去する対策が行われていなかったこと。 |
4 | 無水フタル酸の有害性に対する作業方法の事前の検討が不十分であったこと。 |
5 | 作業員が、無水フタル酸の有害性に関する知識をもっていなかったこと。 |
6 | 作業方法の事前検討、作業員に対する労働衛生教育を実施するなどの労働衛生管理体制が機能していなかったこと。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。 | |
1 | 通風が不十分なタンク内にこびり付いた無水フタル酸をはつるときは、従来から使用していたゴーグルなどの保護具に加えて、ゴム手袋などの不浸透性の手袋、前掛けの使用など無水フタル酸の粉じんが皮膚に接触しないような装備とすること。 |
2 | 防じんマスクを使用させるに当たっては、面体の接顔部から空気が漏れないことを確認させるなど着用方法、取扱方法などについて教育・訓練を行うこと。 |
3 | はつり場所に放水したり、排気装置などによる換気を行ったりすることなどにより、はつり作業で発生する粉じんがタンク内に浮遊しないようにすること。 |
4 | 事前に作業方法および手順を検討し、無水フタル酸にばく露することによる健康障害を防止すること。 |
5 | 作業員に対し、無水フタル酸の有害性および人体に与える健康影響およびその防止対策などについて労働衛生教育を実施すること。 |
6 | 作業方法の事前検討の実施などが確実に行われる労働衛生管理体制を確立すること。 |