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労働災害事例

反応槽へ塩化ホスホリルを滴下する作業中、使用していたビニル製ホースが破断し、塩化ホスホリルが漏出して塩酸ガスが発生

反応槽へ塩化ホスホリルを滴下する作業中、使用していたビニル製ホースが破断し、塩化ホスホリルが漏出して塩酸ガスが発生
業種 無機・有機化学工業製品製造業
事業場規模 30〜99人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 有害物
災害の種類(事故の型) 有害物等との接触
被害者数
死亡者数:0人 休業者数:3人
不休者数:2人 行方不明者数:0人
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.100750

発生状況

 この災害は、ビニル樹脂に添加する添加剤の製造のための実機による製造テストを行う作業中に発生したものである。
 添加剤の実機製造テストは、原材料を投入した反応槽で加熱・撹拌し、一定温度に達したところで加熱を停止して、塩化ホスホリル(別名:オキシ塩化リン)をPVC(ポリ塩化ビニル)製のポンプで滴下し、再び加熱して撹拌、分留、脱水などの工程を経て完成品である添加剤ができあがる。
 災害が発生した日、加熱・撹拌された反応槽へ塩化ホスホリルを滴下するため、塩化ホスホリルが入ったドラム缶を載せた台車を反応槽脇へ置き、ドラム缶の取り出し口にPVC製のポンプを取り付け、反応槽へ塩化ホスホリルを滴下するためにポンプに接続されている塩化ビニルホースの先端部を反応槽の管台の蓋板を開いて入れ込んだ。そして、ポンプを稼働させたところ、塩化ビニルホースがポンプ側の吐出口付近で破断し、塩化ホスホリルが漏出し床にこぼれ落ちた。作業員の1人はホースが破断した際に漏出した塩化ホスホリルを浴びて被災し、床にこぼれた塩化ホスホリルをウエスで拭き取っていた作業員4名が漏出した塩化ホスホリル液の分解から発生した塩酸ガスを吸入して被災したものである。

原因

 この災害は、ビニル樹脂に添加する添加剤の製造のための実機による製造テストを行う作業で発生したものであるが、その原因としては、次のようなことが考えられる。
1  塩化ホスホリルは、塩化ビニルを著しく軟化させる性質を有しているため、ポンプの稼働に伴って流れ出した塩化ホスホリルにより塩化ビニルホースが軟化し、ポンプ吐出口付近で垂れ下がって破断したものと考えられること。
2  漏出した塩化ホスホリルが空気中の水分と作用して,発生した塩酸ガスを吸入したこと。
3  添加剤の製造工程で発生する塩酸ガスを吸入しないように用意された呼吸用保護具、保護衣、保護めがねなどが着用されていなかったこと。
4  実機製造テスト計画書の作成時に、保護具の着用およびその使用状況の監視などに関する作業指揮者の職務と権限が明確化されていなかったため、塩酸ガスなどの有害ガスの発生を伴う実機製造テストを行うに際して、作業指揮者が保護具を着用するように指示しなかったこと。
5  製造計画書作成時に、使用する機材の安全性を検討するアセスメントが十分に行われなかったこと。

対策

 この災害は、塩化ホスホリルの漏洩により発生したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1  製造計画の作成時に、使用するポンプ、ホースなどの原材料に対する耐性を十分に検討し、耐性および強度を有するものを使用すること。なお、異常事態の発生時の対処方法についても検討し、その対処方法について記載する必要があること。
2  製造計画書には、製造過程において生成される有害物に対する保護具の種類およびその使用方法について記載すること。
3  製造過程で生成される有害物、および購入した原材料に添付されたMSDS(製品安全データシート)に記載された危険・有害性に十分対処できる呼吸用保護具、保護衣、保護手袋、保護メガネなどの保護具の使用を徹底すること。
4  製造計画に基づく作業方法の決定、使用する機材および必要な保護具の確認並びに保護具の使用状況の監視など作業指揮者の職務内容および指名について計画書に記載すること。
5  作業員に対して、有害物を取り扱うときに用いる保護具の必要性および使用方法、異常時の対応などについて再教育を実施すること。