簡易水道導水管敷設工事において、練炭養生中の取水ボックス内に入った作業者が一酸化炭素中毒
業種 | 上下水道工事業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 上下水道工事 | ||||
災害の種類 | 酸欠 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 換気の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | その他 |
No.100747
発生状況
この災害は、簡易水道導水管敷設工事において、練炭養生中の取水ボックス内に入り、一酸化炭素中毒により死亡したものである。工事の内容は、コンクリート製取水ボックスおよび周囲にネットフェンス・門扉を築造し、直径150mmの鋳鉄製の導水管を敷設するものである。取水ボックスは、幅が1.5m、長手方向が3.5m、深さが2mのコンクリート造りのものであり、上部は開放されており、完成後にはFRP製の蓋が取り付けられるものである。
災害が発生した日、取水ボックス底部のコンクリート打設を行った後、雪が降る天候であったので、打設したコンクリートを養生するため、取水ボックス上面をビニルシートで覆い、取水ボックス内に練炭コンロをつり下げ(図)、この日の作業終え事務所に戻った。
被災者は、帰宅してから、午後8時頃に家族に「現場の様子を見てくる」と言い残して自宅を出たが、深夜になっても帰宅しないので、携帯電話により呼び出したが連絡が取れなかった。そして翌朝、取水ボックス内で一酸化炭素中毒により仰向けに倒れて死亡している被災者が発見された。
原因
この災害は、簡易水道導水管敷設工事において、練炭養生中の取水ボックス内に入り、一酸化炭素中毒により死亡したものであるが、その原因としては、次のようなことが考えられる。1 | 打設したコンクリートの養生のため、使用していた練炭の燃焼に伴い発生した一酸化炭素がビニルシートで覆われた取水ボックス内に高濃度で滞留していたものと推定されること。 |
2 | コンクリートの練炭養生の際に発生する一酸化炭素の有害性および立入禁止についての表示がされていなかったため、有害性に対する注意喚起がされなかったこと。 |
3 | 帰宅後、被災者は、一人で現場に赴き、取水ボックス内に入り、滞留していた一酸化炭素を吸入して一酸化炭素中毒に罹ったものと考えられること。 |
4 | 一酸化炭素の発生により健康障害が生じるおそれのある練炭養生を行うに際して、養生方法、養生中の表示、養生内部に立ち入る際の換気方法、保護具の使用などの作業手順が作成されていなかったこと。 |
5 | 被災者は、練炭による一酸化炭素中毒の有害性に関する教育を受けていなかったため、保護具を着用することなく安易に練炭養生中の取水ボックス内に立ち入ったものと推定されること。 |
対策
この災害は、練炭養生中の取水ボックス内に入り、一酸化炭素中毒により死亡したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 | 練炭養生の作業を行うときには、一酸化炭素中毒予防に関する知識を有する者の中から作業責任者を選任し、その者に作業方法の決定、換気の実施など適切な作業指揮を行わせること。 |
2 | 養生場所に入る前に十分な換気を行い、換気の効果を一酸化炭素ガス濃度計で確認すること。 |
3 | 換気が十分に行われていることが確認されている場合を除き、作業環境中の一酸化炭素濃度及び酸素濃度等を考慮し、有効な呼吸用保護具を使用すること。 |
4 | 練炭養生に係る換気の実施、呼吸用保護具の使用、一酸化炭素濃度および酸素濃度の測定、作業の手順、緊急時の対応などの内容を記載した作業手順書作成すること。 |
5 | 練炭養生の有害性およびその対処方法などについての教育の実施、作業場所の一酸化炭素濃度が急激に上昇するなどの緊急時に備え、避難や連絡体制などの訓練を行うこと。 |
6 | 元請は、下請に対して、作業手順書作成の指導、労働衛生教育の実施に対する資料の提供など技術的支援を行うこと。 |