建築中のマンションの地下ピットに入り酸素欠乏症となる
業種 | その他の建築工事業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 異常環境等 | |||||
災害の種類(事故の型) | その他 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | その他の建築工事 | ||||
災害の種類 | 酸欠 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 区画、表示の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 無意識行動 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.100727
発生状況
この災害は、大型マンションのバイク置場となる地下ピットの型枠解体作業中に発生したものである。被災者の所属する会社は、コンクリートのはつり、型枠の解体を業としており、この建設工事では型枠解体の作業があるときだけ現場に入っていた。
災害発生当日は、コンクリートを打設した後、約4か月間放置してあったバイク置場となるピットの型枠を解体することになり、朝から5名が作業に着手した。
このピット(ダメ穴)は、雨水が入ることを防ぐためスラブ型枠材で密閉してあったので、まずピットに入るためダメ穴部の鉄筋を切断して曲げ、次いでベニヤ板を鉄パイプで突き破りピット内を投光器で照らして中に入った。
次いで、ピット外に居た作業者Bがピット内に入った作業者Aに投光器を渡そうと投光器を中に入れたが、受け取ろうとしないのでおかしいと思いピット内をのぞいたところ、作業者Aが壁に寄りかかるように倒れていた。
これを見た作業者Bは、ピット内に水が溜まっており、作業には電動サンダー等を使用することから漏電で感電したと思い、他のピットにポンプを入れる準備をしていた別の作業者に電源を切り、また、作業者Aを救出するため他の作業者を呼ぶように依頼した。
そして、作業者Bは、作業者Aを救出するためピット内に入ったが自分もピット内で意識を失って倒れた。
その後、2人は救出されて病院に移送されたが、低酸素脳症のため作業者Aは2か月、作業者Bは1日の休業となった。
原因
この災害は大型マンションのバイク置場となる地下ピットの型枠解体作業中に発生したものであるが、その災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1
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ピット内が酸素欠乏危険場所になっていたこと ピットは4か月にわたり密閉され、しかも雨水が滞留していたため酸素欠乏危険場所となっていた。 なお、消防署員が被災者らを救出後、ピット内の酸素濃度を測定したところ12.9%であった。 |
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2
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酸素欠乏危険について認識がなかったこと 被災した2人の作業者は、作業のためにピットに入る前に酸素濃度の測定をせず、また、ピット内の換気も行わないままピット内での作業および救助を行った。 |
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3
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安全衛生管理が不十分であったこと この建築工事は、大規模でかなり長期間に亘って実施されていて災害が発生した地下ピットのようにコンクリートを打設したのち密閉した状態で放置している場所もあったのに、元方事業者をはじめとして酸素欠乏危険のおそれがあることを誰も意識していなかった。 そのため、密閉されていたピット内での作業に先立って酸素濃度の測定や換気等を実施していなかった。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1
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作業開始前に酸素濃度等を測定すること 長期間密閉しているピット内で雨水等が滞留している個所で作業を行う場合には、その日の作業開始前に酸素濃度、炭酸ガス濃度、硫化水素濃度等を測定し、作業個所の安全を充分に確認したうえで作業を指示する。(酸欠則第3条関連) |
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2
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換気を十分に行うこと 酸素欠乏危険場所で作業を行わせる場合には、作業場所の酸素濃度を18%以上(硫化水素の発生がある場合には10ppm以下)に保つよう十分に換気する。(酸欠則第5条関連) |
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3
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作業主任者を選任して次の職務を履行させること | |
(1)
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作業の方法を決定し、労働者を指揮すること | |
(2)
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作業開始前、再び作業を開始する前に酸素濃度を測定すること | |
(3)
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測定器具、換気装置、空気呼吸器等を点検すること | |
(4)
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空気呼吸器等の使用状況を監視すること | |
4
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酸素欠乏危険について教育を実施すること
労働者に対しては、あらかじめ酸素欠乏症等の危険およびその防止対策について特別教育を実施する。(酸欠則第12条関連) |
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5
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安全衛生管理を行うこと
事業者および特定元方事業者は、酸素欠乏等の危険の有無についてあらかじめ検討を行うとともに、その防止対策、教育実施等について十分に安全衛生管理を実施する。(安衛法第30条関連) |