コックを閉め忘れたガス配管から試験室内に漏れ出したプロパンガスが爆発
業種 | 機械(精密機械を除く)器具製造業 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
事業場規模 | 300〜999人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 可燃性のガス | |||||
災害の種類(事故の型) | 爆発 | |||||
被害者数 |
|
|||||
発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.100721
発生状況
この災害は、製品開発棟の試験室においてガス給湯暖房機を試験する作業中に発生したものである。試験室は、製品の性能を評価するための施設であり、A室、B室および前室の3室に分かれている。A室およびB室へは、前室からそれぞれに設けられている扉から入室できるようになっている。また、試験に使用するガスは、試験室の外の廊下側の壁に設けられた遮断弁からA室およびB室に分岐された配管により供給され、配管の先端にはコックが取り付けられていた。A室およびB室には、ガス漏れ警報装置および酸素検知器が取り付けられていた。
災害が発生した日、試験担当者は、新製品のプロパンガス用の給湯暖房機をA室に搬入し、室外に設けられているプロパンガスの遮断弁を開放し、試験が行える状態にした。
ガス給湯暖房機を試験する作業が開始され、試験担当者は、先ず、給湯部に着火し必要な測定を行い、次いで、暖房部の測定を行うため給湯部を消火し、測定器を暖房部に付け替え、暖房部に着火しようとしたが着火しなかったので、給湯部に着火してみたところ突然室内で爆発を起こし、試験担当者および試験室前を通りかかった作業員の2名が被災した。
原因
この災害は、ガス給湯暖房機を試験する作業で発生したものであるが、その原因としては、次のようなことが考えられる。
1
|
B室に分岐されているガス配管の先端部に取り付けられているコックが開放された状態のまま、ガス遮断弁を開放したため、B室に漏れ出したガスがA室内に入り込み、試験中のガス給湯暖房機を着火した際に漏れ出したガスに引火して爆発したこと。 |
2
|
災害が発生した日の数ヶ月前に酸素検知器が過敏に作動し試験が中断されたため、ガス漏れ警報装置の操作盤内の電源を遮断し、業者に点検を依頼した以後、操作盤内の電源が遮断されたままの状態にあったため、ガス漏れ警報装置が作動しなかったこと。 |
3
|
ガス遮断弁を開放する際に、ガス漏れ警報装置の作動状況およびガス配管に設けられているコックの閉止状況の確認が行われなかったこと。 |
4
|
安全管理体制が十分に機能していなかったことにより、作業の危険性が十分に検討されず、必要な作業手順および点検基準が整備されていなかったため、作業方法などが担当者の判断に委ねられていたこと。
|
対策
この災害は、ガス給湯暖房機を試験する作業で発生したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1
|
ガス遮断弁を開放する際、ガス漏れ警報装置の作動状況およびガス配管に取り付けられているコックの閉止状況を確認するなどの作業手順を作成すること。 なお、試験終了後のガス配管のコックの閉止などの確認を確実にするための試験室使用マニュアルも併せて作成する必要があること。 |
2
|
ガス漏れ警報装置は、作動中であることが確認できるように、試験室内に常時点灯する表示灯を設けること。なお、ガス漏れ警報装置は、定期的に作動試験を行うなどの点検基準を作成し、点検者を指名して、点検を実施する必要があること。 |
3
|
ガス漏れ警報装置の操作盤は、施錠するなどにより担当者以外の者が容易に操作盤内の電源を操作することができないように改善すること。 |
4
|
職制に応じた役割分担と責任および権限を明確化し、各種作業手順、点検基準などの作成状況およびその遵守状況を監視するなどの安全管理体制を構築すること。 |
5
|
作業の危険性およびその防止対策について、新たに整備した作業手順に基づいた安全教育を実施すること。 |