工場から廃出した木屑などのゴミを焼却する作業中、焼却炉内で爆発
業種 | その他の木材・木製品製造業 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の装置、設備 | |||||
災害の種類(事故の型) | 爆発 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.100717
発生状況
この災害は、工場敷地内に設置されている焼却炉で工場から廃出した木屑などのゴミを焼却する作業中に発生したものである。焼却炉の燃焼室は、煉瓦で囲われており、幅が2.4m、奥行きが1.3m、高さが2.3mの大きさのものであり、焼却炉の裏面から焼却炉底部へ空気を自然換気で導入する構造となっていた。焼却炉の前部にはゴミなどの投入口に両開きの扉が設けられており、焼却炉上部には高さが10mの煙突が取り付けられている。
災害が発生した日、焼却炉には燃焼室の1/3を占める木屑などのゴミが入っていたので、被災者は、このゴミを焼却するため、灯油を300リットルほどかけ、ライターで焼却炉内にあった木屑に火を付けた。木屑に付けた火が炉内のゴミに燃え移ったのを確認し、焼却炉の扉を閉めようとしたところ、焼却炉内で「バーン」という音ともに爆発し、爆風によって扉が開いた。爆風によって開いた扉により被災者は、2mほど跳ね飛ばされ、その際に扉の把手を握っていた両手を骨折した。この爆発音を聞きつけた同僚が現場に駆けつけたとき、再度、焼却炉内で「バーン」という音ともに爆発が起こった。
原因
この災害は、焼却炉で工場から廃出した木屑などのゴミを焼却する作業で発生したものであるが、その原因としては、次のようなことが考えられる。1 | ゴミを燃やす前に散布した灯油が蒸発し、混合空気を生成し、部分的に爆発範囲にいたったため、燃えだしたゴミの火が混合空気に着火して1回目の爆発が起こったものと推定されること スプレー缶の内容物の漏出による爆発、木屑に混じっていた木粉による粉じん爆発、木屑に付着したボンドなどの接着剤および有機溶剤などによる爆発などが考えられるが、いずれもその量および状態から爆発の原因とは考えにくい。 |
2 | 事故後燃焼室からスプレー缶が見つかったことから、燃焼室内で爆発が発生した後、燃焼室内にあったスプレー缶が過熱されて破裂し、2回目の爆発音が発生したものと考えられること |
3 | 危険物である灯油を取り扱う際の作業手順が定められていなかったため、作業員の判断で作業が行われていたこと |
4 | 危険物の使用について、通風の不十分な焼却炉内への散布が日常的に行われている作業に対して作業員の判断に委ねる状況が放置される管理体制であったこと |
対策
この災害は、焼却炉で工場から廃出した木屑などのゴミを焼却する作業で発生したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 | 木屑などのゴミを焼却する際に、灯油などの危険物を使用しないこと |
2 | スプレー缶など加熱することにより破裂するものは焼却しないこと |
3 | 灯油などの危険物を使用する場合には、爆発・火災災害を防止するため、作業指揮者を選任し、その者に、危険物の取扱いの状況について、随時点検し、異常を認めたときは、直ちに、必要な措置をとらせること |
4 | 焼却炉の焼却の作業に関し、焼却するゴミの分別、危険物の使用の禁止又は危険物を使用する場合の措置、着火の方法などについての作業手順を作成し、関係作業員に周知徹底すること |
5 | 安全衛生推進者を選任し、その者に、施設、設備等の安全点検および使用状況の確認、作業環境の点検および作業方法の点検並びにこれらの結果に基づく必要な措置などに関することを行わせること |
6 | 灯油など危険物の取扱いに関する危険性およびその防止対策について安全教育を実施すること |