アルミホイールの研磨作業中、付設の集じん装置が爆発
業種 | 自動車・同付属品製造業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 危険物、有害物等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 爆発 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.100716
発生状況
この災害は、自動車用のアルミホイールをバフ研磨盤で研磨中に近くにあった集じん装置が爆発したものである。災害発生当日、被災者は、朝から工場内で研磨剤を塗布したフェルト製のバフにより自動車タイヤ用アルミホイールを研磨する作業を行っていた。
昼の休憩後、午後1時から作業を再開したが、5分ほど経過したときに、使用していた研磨盤の直ぐ横に設置されていた集じん装置(サイクロンとバグフィルターをセットにしたコンパクトタイプのもので幅120cm、奥行き76cm、高さ230cm、処理風量40m3/min)が「ドン」という音とともに爆発し、集じん装置から火炎が噴出した。
同じ建屋内の約10m離れた場所で同様の研磨作業を行っていた同僚が音を聞いて被災者のところに駆けつけたが、その時には被災者は集じん装置から噴出した火炎を浴びて火だるまになり、床面を転がっていた。
同じく音を聞いて事務所から事務員が駆けつけて消防署に連絡し、爆発からおよそ10分後に消防車が到着したが、アルミ粉末の燃焼火災で2次爆発のおそれがあるため直ぐには放水せずに、火勢の状況を確認してから放水し消火した。
その後、被災者は救急車で病院に移送されたが、全身火傷で死亡した。
なお、爆発直後は集じん装置だけが燃えていたが、その後に研磨盤にまで火が拡大した。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1
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集じん装置内に堆積していたアルミ粉じんが爆発したこと 集じん装置には、バフ研磨等で発生したアルミ粉じんがかなり堆積しており、およそ2週間に1回程度の間隔(不定期)でその除去を行っていたが、その除去が不十分であったためそれに着火して爆発したものと考えられる。 なお、着火源としては、鉄の棒でバグフィルターを叩くことがあるので、その作業により火花が発生したことも考えられる。 |
2
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集じん装置の定期自主検査を実施していなかったこと この会社では、集じん装置のフィルターの交換を5〜6年前に一度実施したが、その後、粉じんの堆積状態等について集じん装置や局所排気装置の定期自主検査は実施していなかった。 |
3
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安全衛生教育を実施していなかった 被災者は災害が発生した工場で忙しい時だけ臨時工として働いている者であるが、この会社ではこの被災者を含め粉じん爆発の危険性等についての安全衛生教育は実施していなかった。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1
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粉じんの除去を適切に行うこと 研磨によって生じたアルミ粉末は、局所排気装置のダクトや集じん装置の内部に多量に堆積することがあるので、その状況を定期的に点検するとともに、その状況に応じて適切な間隔でその除去を行う。(粉じん則第17条関連) |
2
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着火源となる作業の禁止等を行うこと アルミ粉じんが堆積している装置内では、着火源となる火を使用する作業やバグフィルターを打撃して除去する作業等を禁止する。 また、集じん装置には、アルミ粉じんの捕集に適した構造のものを採用するとともに、静電気対策、爆発戸等の設置、防爆構造の電気機械器具の設置等を行う。 |
3
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安全衛生教育を実施する アルミ粉じんが堆積する場所で作業を行う者に対しては、あらかじめ爆発の危険性およびその防止対策等について十分に安全衛生教育を行う。 また、臨時に作業を行わせる者については、その知識、経験の程度をあらかじめ確認し、安易に危険な作業に従事させないようにする。 |
4
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集じん装置の安全化を図ること
集じん装置等については、堆積の防止、着火源となる電気機械器具の使用禁止等を含めて爆発防止のための本質的安全化を図るとともに、メーカーはユーザーに対して爆発の防止に必要な情報を提供する。 |