スクラップ破砕作業中、混入していた自動車の燃料タンクからプロパンガスが漏れ出して火災
業種 | その他の金属製品製造業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 可燃性のガス | |||||
災害の種類(事故の型) | 火災 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.100707
発生状況
この災害は、スクラップ処理工場内で自動車の燃料タンクが混入していたスクラップを シュレッダーで破砕したため、プロパンガスが漏れ出して火災となり、集じん装置に配管を取り付ける作業の作業者が被災したものである。この工場では、自動車ボディー、家庭用電化製品、自転車、自動販売機などのスクラップをチップ状に裁断し、鉄と非鉄に仕分ける加工処理を行っていた。
この工場の集じん装置の据付工事を受注したX社では、工場の休日を利用して工事を完了する予定であったが、据付位置の変更などの申し入れがあり、予定どおりに完了することができなくなった。そこで、工場が稼働している日に引き続き工事を行うこととなった。
災害が発生した日、X社の被災者ら3名の作業員は、工場内で据え付けた集じん装置の配管取付け作業を始めた。配管の取付けを完了し、配管のつなぎ部分のボルト締め付け具合の確認を行っていたところ、作業場所から5mほど離れた場所にあるシュレッダーにスクラップを送り込むためのベルトコンベア付近から「ボン」という音とともに小さい炎が発生し、次の瞬間シュレッダー付近で床から天井付近まで火柱が立ち、作業床一面を這うように火炎が走り、作業床は一面火の海となった。作業員らは、直ちに屋外に退避したが、退避する際に火炎を浴びて火傷を負った。
原因
この災害は、スクラップ処理加工工場内の集じん装置の配管を取り付ける作業中に、火災が発生したものであるが、その原因としては、次のようなことが考えられる。1 | 天井クレーンの運転者により、シュレッダーにより粗破砕され穴が開き変形した燃料タンクが確認されていることから、解体業者から納入された自動車ボディーのスクラップに燃料タンクが紛れ込んでいたため、シュレッダーで粗破砕した際にタンク内に残存していたプロパンガスが漏れ出したこと。 |
2 | シュレッダーでスクラップを裁断する際に発生する火花が点火源となって、漏れ出したプロパンガスに引火したこと。 |
3 | 漏れ出したプロパンガスが作業員の衣服に染み付いていたため、退避の際に衣服が容易に燃焼し、被害を大きくしたこと。 |
4 | 解体業者が燃料タンクが紛れ込んだまま、自動車ボディーのスクラップを納入したこと。また、自動車ボディーのスクラップを解体業者から受け入れる際に、燃料タンクの有無についての確認を行う体制がなかったこと。 |
5 | スクラップを裁断するためのシュレッダーが運転中の近くで作業を行っていたこと。 |
対策
この災害は、スクラップに紛れ込んだ燃料タンクに残存していたプロパンガスが漏れだして火災が発生したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 | 燃料タンクなどに残存する可燃性ガスの漏れ出しによる危険を防止するため、納入さ れたスクラップをシュレッダーで裁断する前に、燃料タンクなどの混入の有無を確認すること。 |
2 | スクラップ納入業者に対して、燃料タンクなどの混入の有無についての確認結果を報告させること。 |
3 | 外注業者の作業員が工場内で作業を行うときは、作業員に危害を及ぼすおそれのある装置などの運転は停止すること。 |
4 | 工場の作業員と外注業者の作業員と混在して作業が行われるときには、外注業者に対して工場内の作業の状況および機械設備の稼働状況の説明など十分な連絡調整を行うこと。 |
5 | 外注業者が工場内で作業中には監視人を配置して、その者に作業中に異常事態が発生した場合、直ちに退避等の措置を行うなどの監視の業務を行わせること。 |