飲食店の新装開店準備作業中、調理場内で携帯用カセットボンベが破裂
業種 | 一般飲食店 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 可燃性のガス | |||||
災害の種類(事故の型) | 破裂 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.100705
発生状況
この災害は、飲食店の新装開店準備作業中に、調理場内で携帯用カセットボンベが破裂し爆発的に燃焼したものである。災害発生当日、朝から新装開店準備のため調理員および店員ら全従業員で店内の清掃作業が始められた。午後5時頃、清掃作業を終え、続いて調理員らは料理のネタを仕込む作業に取りかかった。
調理員Aは、寿司ネタに焼き付けを施すため、携帯用カセットボンベ(LPG:内容量190g)の先に「エアゾールバルブ」と呼ばれる器具を取り付け、その使用方法を確認した後、蒸し器と2連のガスコンロが置かれた調理台の蒸し器の傍らに、この携帯用カセットボンベを置いてから、寿司ネタの仕込みに取りかかった。
一方、調理員Bは、午後5時40分頃から蒸し器の隣に置かれた2連のガスコンロを使用して、イカのゲソを茹でる作業を始めた。1時間程して、Bが数回目のイカを茹であげる作業を行っていたとき、ガスコンロ側に置かれていた携帯用カセットボンベが、突然破裂し、爆発的に燃焼し、ガスコンロ付近で作業をしていた調理員ら4名が火傷を負った。
携帯用カセットボンベは、始め蒸し器の傍らに置かれていたが、作業の都合で誰かがガスコンロ側に移動させたものと推定されている。
原因
この災害は、調理場内でガスコンロを使用してイカのゲソを茹でる作業中に、調理台に置かれた携帯用カセットボンベが破裂して爆発的に燃焼したものであるが、その原因としては、次のようなことが考えられる。1 | 蒸し器の傍らに置かれていた携帯用カセットボンベがガスコンロ側に移動していたため、ガスコンロの使用により加熱されてボンベが破裂し、噴出したガスがガスコンロの炎により着火したものと推定されること |
2 | 携帯用カセットボンベの置き場所が指定されていなかったため、ガスコンロが置かれている調理台に置かれていたこと |
3 | 携帯用カセットボンベの収納場所などを含めた火気使用に関する具体的な取り扱い要領が定められていなかったこと |
4 | 店内が忙しく新装開店のための準備に追われていたため、責任者による作業状況の監視が十分に行われていなかったこと |
5 | 安全衛生に関する責任体制が明確になっていなかったため、火気使用に関する作業マニュアルが作成、作業状況の監視などが十分に行われていなかったこと |
対策
この災害は、調理台の上に置かれた携帯用カセットボンベがガスコンロにより加熱されて破裂したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 | 携帯用カセットボンベは、火気などにより加熱されるおそれのない場所を指定し、その場所に確実に置くように従業員に周知徹底すること |
2 | 店の責任者は、火気使用に伴う危険を防止するため、開店前および営業中の火気の点検、携帯用カセットボンベの使用状況の確認および作業中の指定場所以外への放置の監視、閉店後の火気の始末を確実に行うこと |
3 | 火気使用による爆発・火災、不完全燃焼によるガス中毒などの災害を防止するための作業マニュアルを作成して周知徹底すること |
4 | 店長以下の職制に対応した安全衛生に関する職務の責任および権限を明確にした安全衛生管理体制を構築し、安全衛生管理を徹底すること |
5 | 従業員に対して、携帯用カセットボンベの危険性およびその安全な使用方法、火気使用による爆発・火災およびガス中毒の危険性およびその対策など作業マニュアルに従った安全衛生教育を実施すること |