アルミニウムとマグネシウムの合金を粉砕加工する作業中に粉じん爆発
業種 | その他の非鉄金属製造業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 爆発性の物等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 爆発 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.100704
発生状況
この災害は、アルミニウムとマグネシウムの合金を粉砕加工する作業中に粉じん爆発が発生したものである。この事業場では、非鉄金属を粉砕加工して溶接棒の原料などに使用される粉末を製造していた。非鉄金属の粉砕加工は、地金を購入し、クラッシャーにより粗粉砕し、さらに細粉砕し、篩機により所定の粒度になるように選別して製品として出荷していた。
災害が発生した日、静電気帯電防止用の作業衣を着用した2名の作業員は、クラッシャー2号機を操作して細粉砕の作業を行っていた。
粉砕加工の作業は、あらかじめ粗粉砕(直径10〜20mmほどの粒)されたアルミニウムとマグネシウムの合金500kgを粉砕加工室に設置された細粉砕用のクラッシャー1号機に小分けして投入し、さらに粉砕したものを細粉砕用のクラッシャー2号機に投入して60メッシュ(直径0.25mm)の粉末に加工するものであった。
昼の休憩後、2名の作業員は午前中に引き続きクラッシャー2号機により細粉砕の作業を再開した。クラッシャーの運転を開始してからまもなく、クラッシャー内で爆発が起こり、噴出した炎により火傷を負ったものである。
原因
この災害は、クラッシャーを使用して非鉄金属を細粉砕する作業で粉じん爆発が発生したものであるが、その原因としては、次のようなことが考えられる。1 | クラッシャー内に、アルミニウムとマグネシウムの合金を細粉砕する際に、相当細かい微粉が生成して堆積していたこと |
2 | クラッシャーの運転再開時に、クラッシャー内に堆積していた微粉がクラッシャー内で舞い上がり、爆発下限界を超える濃度の粉じん雲が形成されたこと |
3 | クラッシャーの運転再開時に、原料投入用のホッパーのダンパーが閉じられたままであったため、クラッシャーが空回転したことにより発生した火花がクラッシャー内に形成されていた粉じん雲に着火し、爆発したものと推定されること |
4 | 作業手順が定められていなかったため、作業員の経験による判断に委ねられて作業が行われていたこと |
5 | クラッシャーの定期的な点検整備が十分に行われていなかったため、空運転時にクラッシャー部が接触することにより火花が発生しやすい状態であったこと |
6 | 粉じん爆発の危険性について十分な知識を有していなかったこと |
対策
この災害は、クラッシャー内で細粉砕された非鉄金属粉じんが爆発したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 | クラッシャーは密閉構造とし、爆発放散口を設けるなど、内部で爆発が生じた場合には安全に爆発圧力および炎を逃すことができる構造とすること |
2 | ホッパーから原料が投入されないときは、クラッシャーの運転ができないインターロック機構を設けること |
3 | クラッシャーの各部の摩耗などにより生ずる火花の発生を防止するため、点検項目を定め、点検者を指名して定期的に点検整備を行うこと |
4 | クラッシャーは、静電気の帯電を防止するため、確実に接地すること また、作業員には静電気帯電防止用作業衣および静電気帯電防止靴を着用させること さらに、床は導電性の接地工事を施したマットを敷き詰めるなどにより人体などに帯電した静電気が除去されるようにすること |
5 | 粉砕加工作業についての作業方法および手順を定めて、作業員に周知徹底すること |
6 | 作業員に対して粉じん爆発の危険性およびその対策について安全教育を実施すること |