高炉の定期修理工事が終了して運転を再開する作業中、高炉ガスが漏出して一酸化炭素中毒に罹る
業種 | 製鉄・製鋼・圧延業 | |||||
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事業場規模 | 300〜999人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.100679
発生状況
この災害は、高炉の定期修理工事が終了して運転を再開する作業中に発生したものである。災害が発生した日、高炉の送風を停止して高炉および高炉付帯設備の定期修理・点検の作業を行っていた。
修理・点検作業中、高炉側とガスホルダー側の両端のバルブを閉止して、高炉ガス送給配管系統の途中に設けられているパージファンを運転して、高炉ガスのガスホルダータンクへの送給配管内に送気して配管内に残留している高炉ガスをパージしていた。
工事・点検が終了し、パージファンの運転を停止して配管内を窒素ガスで置換し、高炉の運転を再開するため高炉ガス送給用の配管のバルブを開いて配管内に高炉ガスを通したところ、パージファン吸気口の閉止弁が開いていたため、この吸気口から10,000立方メートルを超える量の高炉ガスが漏出し、吸気口から15mほど離れた場所にある建家内にいた作業員および救助作業に従事した作業員ら18名が一酸化炭素中毒に罹った。
原因
この災害は、高炉の定期修理工事が終了して運転を再開する作業で発生したものであるが、その原因としては、次のようなことが考えられる。
1
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漏出した高炉ガスは、一酸化炭素18%、炭酸ガス21%、窒素ガス55%を主成分とするものであったこと。 | |
2
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修理・点検終了後の運転再開時に、高炉ガスの配管系統のバルブの閉止状況の確認が十分に行われなかったため、閉止しなければならないバルブが開いたままになっていたこと。 | |
3
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高炉付帯設備に係る修理・点検作業と運転再開時におけるバルブ類の閉止およびその確認方法についての手順が定められていなかったため、パージファン吸気口のバルブの閉止状況の確認が見落としされたこと。 | |
4
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ガスマスクなどの適切な保護具を使用することなく無防備のまま救護活動を行ったため、二次災害を発生させ被災者を増加させたこと。 |
対策
この災害は、高炉の定期修理工事が終了して運転を再開する作業でパージファンのバルブの閉止の確認が十分でなかったことにより発生したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1
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修理・点検工事終了後の高炉運転再開時におけるバルブ類の閉止状況の確認漏れが生じないように、マニュアル類の見直しを行うこと。 | |
2
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バルブ類の閉止状態が正常でないときには、高炉ガスを送給することができないようなインターロック機構を導入することの検討が必要であること。 | |
3
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救護体制および救護の方法などに関するマニュアル類の見直しを行い、二次災害が発生しないような救護体制を確立すること。 | |
4
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マニュアル類の変更時には、変更後のマニュアルにより関係作業員に対する教育を実施すること。 なお、異常時に備えた救護および避難方法などについての実地訓練を定期的に行うことも必要であること。 |
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5 | 職制に応じた責任と権限を見直し、定期的にマニュアル類の検討を行い、マニュアル類の遵守状況の確認などを組織的に対応できる安全衛生マネジメントシステムを再構築すること。 |