吊り足場用部材を作業構台上に仮置き作業中、作業構台が倒壊して、構台上の作業者2名が被災

業種 | 橋梁建設工事業 | |||||
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事業場規模 | 5~15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の仮設物、建築物、構築物等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 崩壊、倒壊 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 橋梁建設工事 | ||||
災害の種類 | 倒壊 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 設計不良 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.100619
発生状況
この災害は、橋梁補修工事に使用する足場部材を作業構台上に荷揚げ作業中、作業構台が倒壊したものである。作業は、中洲に作業構台を組み立て、橋上に配置したラフターレンクレーンを使用し、地上にある吊り足場用部材を作業構台上に一旦仮置きした後、作業構台から橋脚へ手渡しで搬入する計画であった。
災害発生当日午前中、吊り足場用部材を仮置きするための作業構台を中洲に組み立てた。午後から、橋上にラフターレンクレーンを配置し、吊り足場用部材を作業構台に仮置きする作業にとりかかった。
部材の吊り降ろし作業中、9回目の部材を仮置きした際に、作業構台の東側の根太単管が約10cm程たわんだことを被災者Fが確認している。(図)
しかし、その後も、そのまま作業を続け、13回目の吊り足場用緊結金具の入ったドラム缶を仮置きし、14回目の緊結金具の入ったドラム缶を仮置きするため、吊り下ろそうとしていたとき、作業構台の上部床面が北側へ少しずつ水平に移動し、作業構台が平行四辺形状に変形が進み、横倒れ状態で倒壊した。作業構台の上で作業していた被災者Eは、倒壊した作業構台の下敷きになって死亡、また、同Fは打撲傷を負った。
原因
この作業構台の倒壊の原因としては、次の様なことが考えられる。1 | 建枠の枠面方向(交差筋交い直行する方向)に筋交いが全く取り付けられていなかったため、構台上部が水平方向へ移動変形するのを防止するための抵抗力がなかったこと。 |
2 | つり足場用部材を仮置きしたとき、北側への単管根太への荷重が南側へのそれよりも大きいため、北側の根太単管が大きくたわみ、作業構台の建枠の枠面方向に、このたわみによる2次的な層せん断力が生じ、これが作業構台全体を倒壊させたと推定されること。 |
3 | 地盤は、やや軟弱であったため、作業構台に部材を積載した際、その仮置き荷重の分布の状況から、沈下量が、南側の基礎部より北側のそれ大きく、上部床面に傾きが生じる可能性があり、作業構台にとって、より不安定な要素となったこと。 |
4 | 被災者が組み立てを終えたときに交わした会話から、作業構台は既に不安定であったこと。 |
5 | 作業構台の最大積載荷重を定めておらず、作業員に見やすい場所に掲示す等の周知はなされていなかったこと。 |
6 | 作業構台を組立てる前に、組立図を作成せず、組立てたこと。 |
対策
同種災害を防止するためには、次のような対策の徹底が必要である。1 | 作業構台を設置するとき、元請が配置位置を計画し、また、組立図を作成するときは、最大積載荷重を設定して構台の構造等を決定し、部材各部の強度および倒壊防止対策の検討を行い、下請業者に組み立ての仕事を受注させること。 |
2 | 下請業者に作業構台の設計および組み立てを請け負わせるときは、元請業者が作業構台の設置位置を計画し、下請業者は、これにより強度計算書および組立図を作成し、元請業者は、設計図書の安全性および、組立終了後、組立図に従い組立てられていることを確認すること。 |
3 | 作業構台の計画においては構造等に応じ定めた最大積載荷重をよく見える場所に掲示し、関係者に周知させること。 |
4 | 作業構台を組み立てた時に点検して危険が認められるときおよび作業中に作業構台に異常なたわみ、変形等が認められるときは、直ちに倒壊防止のための補強を行うこと。 |
5 | 元請事業者と関係請負人は、共同し作業場所の危険性の有無の確認を日常的に行い、安全管理を徹底すること。 |