橋梁の鉄筋組立検査中に待機していて墜落

業種 | 橋梁建設工事業 | |||||
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事業場規模 | 1~4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 建築物、構築物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 墜落、転落 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 橋梁建設工事 | ||||
災害の種類 | 橋梁から墜落 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.100610
発生状況
この災害は、地方公共団体発注の橋梁建設工事の鉄筋組立検査中に発生したものである。被災者の所属する会社は、橋梁建設工事の4次下請として配筋作業を行っていた。
災害発生当日、被災者は、社長ら4名とともに現場に到着し、午前8時頃より前日に引続いて床版上で鉄筋の組立作業を開始したが、午前9時頃より発注者の職員による鉄筋の組立検査が開始されたので、4人は床版の端の方に移動して鉄筋の組立作業を継続した。
午前10時頃より橋台横に設置した枠組足場に設けた階段で橋梁の下に移動して休憩し、午前10時35分頃に休憩を終えて作業再開のため枠組足場を使用して床版上に向かった。
このとき、被災者は、車に置いていた水筒の水を飲みに行ったため、3人より20~30m遅れて枠組足場に向かっていた。
先行した3人は、床版上で検査の状況を見ていたが、後方から「あっ」という声が聞こえたので急いで地上に降りて見たところ、被災者が枠組足場を設置した橋台の翼壁南側の砂利地面に倒れていた。
その後、救急車を呼んで被災者を病院に移送したが、脳挫傷のためまもなく死亡した。
なお、橋台の翼壁から被災者が倒れていた場所までの垂直距離は7.2mであった。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 | 作業開始前の打合せが不十分であったこと 当日は、発注者による鉄筋の組立検査が予定されており、通常の作業を変更する必要があるにもかかわらず、この検査と配筋作業など他の作業との関連、待機場所等について、作業開始前に元請から指示等がなかった。そのため、被災者らは、自己判断で作業を実施して事故が発生した。 |
2 | 立入禁止措置を行わなかったこと 被災者が墜落直前に立ち入ったと思われる橋台の翼壁上では、作業が行われる予定がなく、墜落防止措置も講じられていなかったのに立ち入り禁止の措置を行っていなかった。 |
3 | 統括安全管理を行っていなかったこと この現場には4次までの下請労働者が入って作業を行っていたが、安全協議組織の設置、新規入場者教育の実施、安全朝礼の実施、元請のパトロールの実施など統括安全管理を実施していなかった。 また、被災者の会社では、墜落防止措置などを含めた安全教育を実施していなかった。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 | 作業計画を定め関係者に周知徹底すること 同一の作業現場で複数の会社に所属する労働者が作業を行う場合には、その日の作業計画を明確に定め、関係作業者に周知徹底する。 とくに、発注者による検査等が他の作業と併行して実施される場合には、作業の中止時間、待機場所等について明確な指示を行う。 |
2 | 立入禁止措置および墜落防止措置を行うこと 現場内で作業中に労働者が立ち入るおそれのある危険な箇所については、直接の作業予定が無い場合でも立入禁止措置を行う。(安衛則第530条関連) また、直接の作業が予定されていない場合でも、墜落のおそれがある箇所には先行的に手すりの設置等を行う。(安衛則第519条関連) |
3 | 統括安全衛生管理を実施すること 重層構造で作業を行う特定元方事業者は、同一の場所で行われる作業による労働災害を防止するため、協議組織の設置・運営、作業間の連絡調整、作業場所の巡視等を行う。(安衛法第30条関連) また、それぞれの事業者は、あらかじめ労働者に対して安全衛生教育を実施する。(安衛法第59条、安衛則第35条関連) |