冷蔵庫室内に付着している霜等の除去作業中、破損したコイルから漏出したアンモニアにばく露
業種 | 倉庫業 | |||||
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事業場規模 | 1〜4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 物の置き方、作業場所の欠陥(部外の) | |||||
発生要因(人) | 無意識行動 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.100588
発生状況
この災害は、冷蔵庫内の霜や氷等を除去作業中、冷蔵庫のコンクリートの天井が崩れ落ち、天井につられていたアンモニアを送給する鉄製のコイルが落下し、作業者が下敷きになると同時にコイルから漏出したアンモニアにばく露されたものである。災害発生当日、専務と作業者AおよびBの3名は、午後1時頃から冷蔵庫内に入り、その内部のすの子状床面で仕切られた中2階の霜等の除去作業を始めた。
作業を開始した時点では中2階には、北側壁面および南側壁面の一部に霜や氷が付着していたが、その他の部分は除去されていた。
霜等の除去は、Aが手斧を、Bがバリ取りを使用して北側壁面、専務が小型つるはしを使用して東南角部分壁面をそれぞれ手作業で行っていた。
この作業中、突然天井コンクリートが剥落し、天井に埋め込まれコイルをつり上げていた鉄筋アンカーがコイルごと落下して作業者Aを直撃し、Aは落下したコイルと中2階のすのこ状床面との間に挟まれうつ伏せに倒れ、同時にコイルから漏出したアンモニアにばく露され骨折と皮膚および気道に薬傷を負った。
原因
この災害の原因としては次のようなことが考えられる。1 | 冷蔵庫室内の天井の崩壊により、埋め込まれていたアンカーが天井から抜け落ち、アンカーによってつり下げられていたコイルが落下したこと |
2 | 天井が老朽化し、又は過去の地震等によりひび割れが発生していたこと |
3 | 作業者がコイルに衝撃を与えたこと |
4 | コイルの取り付け状態が、コイルと霜等の重量の合計に耐えられないようになっていたこと |
5 | アンカーの補強やコイルの落下防止の措置をしていなかったこと |
6 | コイルが落下の衝撃により一部破損し、コイル内部に充満されていたアンモニアが漏出したこと |
対策
同種災害防止のためには、つぎのような対策の徹底が必要と考えられる。1 | 呼吸用保護具(アンモニア用防毒マスク)を備え付け、ガス漏出の場合は直ちに着用できるようにしておくこと |
2 | 送風機等の換気装置を使用すること |
3 | 冷蔵庫を設置している建家について定期点検および随時に点検を行い、作業場所に危険有害性がないことを確認して作業すること 天井の強度不足が予測されるときは、予め落下防止の支えを取り付ける。 冷蔵庫室内のコイルが落下しないようつり下げ箇所を補強する。 |
4 | 平素からガス漏れ(アンモニアの漏出)を想定した緊急対策の訓練をすること |
5 | 作業手順を予め定めてこれにより作業を行うこと |
6 | 作業指揮者を定め作業指揮者の指揮の下に作業すること |
7 | 作業者に作業を行わせる前にアンモニアの危険性や呼吸用保護具の使用等について労働衛生教育を行うこと |