ガソリンタンクをガス溶断する作業中、タンク内に残存ガソリンの蒸気に引火し、爆発
業種 | 産業廃棄物処理業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 引火性の物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 爆発 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.100543
発生状況
この災害は、スクラップにするガソリンタンクをガス溶断する作業中にタンク内に残存するガソリンの蒸気に引火し、爆発したものである。この工場は、工場内のヤードで建築物などを解体したときに排出する鉄くず、工場などから排出されるスクラップなどを一定のサイズに裁断する産業廃棄物の中間処理を行っている。
災害が発生した日、被災者は、始業時からヤード内において、鉄と非鉄とを選別し、カッターやガス切断機を用いて鉄板などを切断する作業を行っていた。午前中の休憩の後、ガス溶断機を用いて前日に搬入されたタンクの解体作業を始め、昼の休憩前に終わった。
昼の休憩後、被災者は、ヤード内に運び込まれた給油所で使用されていたタンク(直径1.8m、長さ3.5m、板厚5mm、材質SS400)の解体の作業に取りかかった。
被災者は、ガスバーナーに点火し、タンクの鏡板の溶接線に沿って切断しようとして、溶断を開始したところ、タンク内に残存していたガソリン蒸気に引火して爆発し、鏡板がちぎれて吹き飛び、被災者も鏡板とともに吹き飛ばされ頭蓋骨骨折により即死した。
原因
この災害は、スクラップにするガソリンタンクをガス溶断する作業中にタンク内に残存するガソリンの蒸気に引火し、爆発したものであるが、その原因としては、次のようなことが考えられる。1 | 給油所でガソリンタンクとして使用していたタンクについて、搬入後に、タンク内部が十分に洗浄されているかどうかの確認がされていなかったこと |
2 | ガソリンタンクの解体作業に関する作業手順が作業員の判断に委ねられていたため、タンク内に残存するガソリン状況が確認されずに作業が行われたこと |
3 | 作業員は、ガス溶断によりにガソリンタンクの解体作業を行う危険性についての知識経験が不十分であったこと |
4 | 安全管理の役割を担うものが明確にされていなかったため、作業の安全を確保するための作業手順が定められず、具体的な作業の安全指示が行われないまま作業が行われていたこと また、ガス溶断作業に必要な資格者、あるいは知識経験を有する者の把握が行われずに、作業を行わせていたこと |
対策
この災害は、ガソリンタンクのガス溶断作業中に爆発が発生したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要と考えられる。1 | 危険物を貯蔵したことのあるタンク類をガス溶断する作業を行うときには、タンク内部に水蒸気を通すなど十分に洗浄し、タンク内部の、引火性の液体または蒸気、ガスを除去すること |
2 | 可燃性ガスおよび酸素を用いて行う金属の溶接、溶断または加熱の業務には、ガス溶接技能講習修了者などの有資格者を就けること |
3 | 作業ごとに作業手順を定め、関係者に周知すること |
4 | ガス溶断作業など危険性の高い作業については、作業指揮者を指名しその者の直接指揮により作業を行わせること |
5 | 安全衛生推進者を指名し、その者に作業手順の遵守状況の確認、有資格者の把握などの安全管理を行わせること |
6 | 作業員に対して、ガス溶断作業の危険性およびその防止対策について安全教育を実施すること なお、資格を必要とする作業には、資格のない者が就けないことを徹底すること |