ドラグ・ショベルをトラックに積み込む作業中に誘導者をひいた
業種 | 警備業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の動力運搬機 | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.100472
発生状況
この災害は、下水管の埋設工事に使用するドラグ・ショベルを運搬するためトラッククレーンに積載する作業中に発生したものである。災害発生当日、下水管の埋設工事を請け負った会社では、工事に使用するドラグ・ショベル(機体質量3.87t)を工事現場に運ぶことになり、トラッククレーン運転者Aとダンプ運転者Bが夫々に車を運転して機械置場に集まり、工事現場で車の誘導を行うため警備会社から派遣された警備員Cも自家用車で合流した。
合流後、Aは、ドラグ・ショベルの点検を行い、それが終了したので自分が乗ってきて機械置場前の公道に停車していたトラッククレーンにドラグ・ショベルを積載することになり、ドラグ・ショベルに乗って後進でCの合図によりいったん道路の境目のところまで出て停車し、次いで道路上に約1m出たときに「ギャー」という声がしたので、運転席から降りて声のした方向を見ると、Cがドラグ・ショベルのクローラ(履帯)に仰向けの状態で左足から腰の付近まで挟まれていた。
その後、近くでダンプの整備をしていたBも駆けつけ、ドラグ・ショベルを移動してCを救出し、救急車で病院に移送し加療したが12日後に死亡した。
なお、ドラグ・ショベルを運転したAは、7年前に車両系建設機械(整地・運搬・積み込み用および掘削用)運転技能講習を修了していた。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 | 誘導者の位置が運転者の死角になっていたこと 右前方クローラ部分は、後進していたドラグ・ショベルの運転席の反対側で、ショベルのブームとブーム脇に掘削した土砂が機体上に堆積しないように掛けられていたカバーのため、ドラグ・ショベルの運転者の位置からは死角になって被災者の確認をしにくかった。 なお、被災者は最初は道路の中央付近にいたが、事故時には道路が公道で車両の通行が頻繁であったため、交通整理を行いながら車両との接触を避けてショベルに接近したものと考えられる。 |
2 | 誘導者の位置と合図を正確に確認せずに運転したこと ドラグ・ショベルの運転者が被災者の位置と合図を確実に目視したのは、道路中央にいたときであり、いったん停止(約10秒位)して再発進したときには、その位置および合図を正確に確認していなかった。 |
3 | 作業開始前に打合わせを行っていなかったこと 被災者とドラグ・ショベルの運転者とは建設工事現場で顔馴染みの関係にはあったが、当日の作業開始前にトラックへの積載要領、合図・誘導の方法などについて打ち合わせを行っていなかった。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要と考えられる。1 | 作業開始前に作業方法の打合せを行うこと ドラグ・ショベルを運搬用のトラック等に積み降ろす作業を行うときには、積み降ろしの場所の適否、道板の使用、誘導者の配置と合図の方法などについて、関係者で打合わせることが必要であり、特に異なる事業場の労働者が共同で行うときには顔見知りであっても必ず実施することを忘れてはならない。 |
2 | 合図の方法を決定すること ドラグ・ショベル等の車両系建設機械を使用して作業を行うときには、本来の作業の場合はもちろんのことトラックへの積み降ろし作業についても一定の合図を定め、誘導者と運転者の間で確認をしておくことが必要である。 |
3 | 事業場として安全管理を実施すること ドラグ・ショベル等の車両系建設機械を移送する作業は車両系建設機械の本来の作業ではないが、その積み降ろし段階での事故・災害がかなり発生しており、事業場としても安全担当者の選任など安全管理体制の整備を行い、作業状況の確認と必要な安全教育の実施を行うことが必要である。 また、技能講習修了者についても、一定の期間ごとに能力向上のための教育を実施することが望ましい。 |