道路改修工事中に熱中症となる
業種 | 道路建設工事業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 高温・低温環境 | |||||
災害の種類(事故の型) | その他 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 道路建設工事 | ||||
災害の種類 | 高熱物等による | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 温湿度の不適当 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 不安全な服装をする |
No.100442
発生状況
この災害は、屋外道路改修工事において熱中症となったものである。この会社は、二次下請として道路改修工事のうち路肩部分の補修作業を請負い、災害発生当日は担当部長と被災者および同僚2 名の計4 名で午前8 時30分頃から作業を開始した。
8月の炎天下、作業は道路の路肩のコンクリート部分をブレーカーではがして、2tダンプトラックに載せて搬出するものである。
朝から予定の作業が進み午前10時30分から道路脇の木陰で少し休憩した後、ブレーカーのアタッチメントをバケットに取り替える作業を行い、12時から1 時まで近くの民家のビニールシートで覆った車庫で昼食した。
昼食後、被災者は、トラックを運転して同僚1 名とともに、コンクリート破片を2回捨てに行き、午後3 時30分頃現場に戻った。
それから再びトラックに破片を手作業で積み込む作業を開始したが、10分ほど経過した時に被災者がトラックのバックミラーをつかんでフラフラしているのを部長が見つけ、声を掛けたが返事が明確にできない状態であった。部長はすぐに車庫に5 分ほど寝かせたが回復する様子がないので、車で病院に移送したが約1 時間後に熱中症で死亡した。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 日照の強いところで作業を行っていたこと
被災者が作業を行っていたところは、直接日光が照りつける状態であり、当日の最高気温は気象台の発表では35.3度であったが、道路舗装面からの照り返しもかなりあり、相当の高温になっていたため、熱中症になったものである。
2 適当な間隔で休憩をとらなかったこと
前日には、午前と午後の2 回は木陰などで休憩をとっていたが、当日はトラックでコンクリート破片を捨てに行く作業があり、被災者ともう一人の同僚以外はその間手待ち時間となっていたので、被災者は午後の休憩なしで作業を行うことになった。
3 トラックに冷房設備がなかったこと
被災者は、トラックへの破片の積み込み、トラックの運転と連続して作業を行ったが、トラックには冷房設備がなく、常に高温下で作業を行うことになった。
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 適当な間隔で休憩をとること
炎天下で作業を行う場合には、午前と午後の休憩はもちろんであるが、さらに適当な間隔で休憩をとることが必要である。
また、休憩場所は、日陰で風通しのよいところなどを選定し、できればエアコンがあるハウス等を設置することが望ましい。
2 水分等の補給を十分に行うこと
作業場所には、水分、塩分を補給するためスポーツドリンク、氷、おしぼり、塩等を十分に用意しておき、適宜利用できるようにしておくことが必要である。
3 作業者の健康状況を確認すること
暑中の作業においては、作業の開始前、作業中等にコミュニケーションを通じて作業者の健康状況を確認する。
少しでも不調を訴えた場合は直ぐに作業を中止し、必要な場合には医師の診断を受けせることも大切である。
4 安全衛生管理を徹底すること
現場作業責任者の安全衛生教育を実施し、出張作業における安全衛生管理に配慮する必要がある。