かかり木となった伐倒木を外そうとして、その下敷となる
業種 | その他の林業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 立木等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 飛来、落下 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | 場面行動 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.100414
発生状況
この災害は、地方公共団体が管理する林道の脇にある枯れた松の木の伐倒と松食い虫の駆除作業中に発生したものである。この作業は、災害発生前日と当日の2日間の予定で行われたが、当日は、チェンソーによる伐木と玉切りを作業員3名(うち1名が被害者)、林道を通行する車両の誘導員2名、下草刈りを行う作業員1名の6名で午前8時30分頃から開始し、午前10時頃までに7、8本の処理が終了したので、午前10時30分まで全員で休憩をとった。
休憩後、作業を再開したが、伐木を行う被災者ら3名は別々に下草刈りの済んだ枯れ木の処理を行った。午前11時頃、木の倒れる音がした後の様子がおかしいので、現場代理人が被災者のところに近寄って見ると、被災者が伐木の下敷きになっているのが発見された。現場の状況から、被災者は伐倒木がかかり木になったので、外そうとしていた時、伐倒木の下敷きになったものと思われる。発見時には、被災者に出血は無く、意識があって痛みを訴えていたが、救急車で病院に移送されて約5時間後に肺挫傷、骨盤骨折等による出血性ショックで死亡した。
原因
この災害の原因としては、次のことが考えられる。1 受け口の切り込みが不十分であったため、伐木が異なる方向に倒れ、かかり木となったこと
伐木には深さ7cm の受け口が認められたが、切り込みが不十分であったため、伐木が予定の方向とは異なる方向に倒れ、近くの立木にかかり木になってしまったことが、災害の要因になったものである。
2 かかり木の外し方を誤ったこと
作業個所には、棒、木回し(きまわし)、チルホール等のけん引具が見当たらず、また、伐倒木のかかった立木に絡んだ「つる」等にチェンソーの跡が見受けられないことから、被災者はかかり木を揺すって外そうとしてその下敷きになったものと考えられる。
3 伐木の作業方法を定めないで、1人作業で行わせたこと
4 被災者の経験、技能を確認していなかったこと
被災者は、1月前に採用された者であったが、伐木作業の経験、技能の程度等を確認していなかった。
対策
この災害は、地方公共団体が管理する林道脇にある、枯れた松の木の伐倒と松食い虫の駆除作業中に発生したものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。1 作業者には、あらかじめ、伐倒の際に退避する場所を選定すること、伐倒しようとする立木の胸高直径が40cm以上である時には、直径4分の1 以上の深さの受け口を作ること、伐倒した木がかかり木とならないよう付近の木の枝木、「つる」等を除去しておくこと等について徹底しておくこと
2 作業の責任者は、その日の作業内容、予想される危険に対する防止対策を明確に指示するとともに、作業に必要な機材等の点検等を行うこと
3 チェンソーを使用して伐木の作業、造材の作業等に従事する者に対して、あらかじめ特別教育を実施しておくこと
4 安全管理体制を整備し、安全衛生教育の実施、作業現場パトロールの実施等適切な安全衛生管理を行うこと